ニュース記事を書く仕事、AIが担う未来になる?
ニュースメディアサイトのCNETのレポーターのジャクソン・リアン氏が、先月ChatGPTの登場によるジャーナリストやニュース産業への影響について「ChatGPTは素晴らしいAIだ。でも、今のところジャーナリストの代わりになる仕事はできない」との記事を発表していました。…なのにCNETでは、11月からAIに記事を書かせていたことが、ニュースサイト Futurismとオンラインマーケッターのガエル・ブレトン氏によって報じられました。
最終的に人間がチェックしているが…
AIによって執筆されたCNETの記事は、「執筆:CNET Money Staff」というクレジットになっていて、そのリンクに飛ぶと詳細には「これはAIを使用して作成されました」と書かれていました。
この疑惑に対してCNETは、「金融チームは金融サービスについての基本的な説明をAIアシスタントにさせてみたらどのような結果になるかを試していただけ」と説明。声明の中で編集長のConnie Guglielmo氏も、CNETのゴールは多忙なレポーターやスタッフの仕事をAIエンジンがカバーできる部分もあるだろうと考えていると語っています。
Looks like @CNET (DR 92 tech site) just did their coming out about using AI content for SEO articles. pic.twitter.com/CR0IkgUUnq
— Gael Breton (@GaelBreton) January 11, 2023
最初に「CNET Money Staff」の名前でAIが書いたと思われる記事は、11月11日にアップされたクレジットカードに関する記事でした。その後、なんと73本もの記事がAIによって作成されています。一応、AIによって執筆された後に、人間のスタッフが正確であるかの事実確認をして編集を行なってるとのことです。
先月リリースされたChatGTPは、エッセイ、記事、プログラミングのコード、なんでもスイスイと書いてしまうため、大学の課題でズルしないようにChatGPTで作成されたかどうかを確認するChatGPTまで開発されるというイタチごっこ的な状況になっています。
実は記事の執筆にAIを使っていたのは、CNETが最初ではありません。2015年、AP通信は「AIを活用した最初のニュース機関」だと自社のサイトで掲げています。ワシントンポスト紙も2020年の大統領選の速報にAIを利用していたと発表しています。
「ジャーナリズムはAIにはムリ」と言っていたCNETのリアン氏は、「ChatGPTは感情を理解したり、読み取ったりする能力がなく、例えばワールドカップで選手の表情から得られる選手の感情について記述することはできないだろう。またロシアが侵略してきたことで生活がどのように変わったか、ウクライナ人に取材することなどもできない」と言っています。それは確かにそうですね。
CNETは「これからもAIの力を借りていくことが我が社のためになるかどうかを見極めていきます」と話しています。