仮想も現実のハイブリッド。
期待値は高いものの、実際に我々の生活にどのような恩恵をもたらすのか、まだまだ手探り状態のWeb 3.0。この分野に果敢に挑んでいるのが、実はハイブランドだったりします。
独自のメタバース開発やら、そのメタバース空間で身に纏うためのファッションの販売やら、今のところ他業界に比べると攻めている印象がありますね。
スイスの高級時計ブランド、H.モーザーもそんなブランドのひとつです。モーザーは世界一黒い物質「ペンタブラック」を文字盤に使った時計を生み出しているくらい、先端技術に積極的なブランドです。
文字盤がQRコードに?
そんなモーザーが先日発表して話題を集めているのが、物理的要素とバーチャル要素を併せ持ったハイブリッドウォッチ「エンデバー・センターセコンド ジェネシス」です。
この時計、自動巻きムーヴメントを積んだ本格的機械式時計なんですが、そのフォルムはかなり独創的。ベゼルやサファイヤクリスタルガラスはピクセルを重ねたようなギザギザなデザインで、なんだか布袋モデルのギターみたいです。

このピクセルなのですが、実はQRコードになっていて、時計オーナーはこれを読み取ればアプリ経由で専用のバーチャルエコシステム、つまり独自のメタバース空間にアクセスすることができるんです。
このエコシステムでは今後発売される限定エディションの優先購入権(今回のモデルは3部作の第1弾で続編モデルもリリースされる予定)、コミュニティの会員権、発売イベントへの招待状などが提供されます。
また時計や時計師について紹介するショートムービー「タイムカプセル」などデジタルアート作品のコンテンツも提供される模様。モーザーの世界観をメタバース空間でより深くリアルに体感することができるわけです。
さらにモーザーでは、オーラブロックチェーンコンソーシアム(Aura Blockchain Consortium)のブロックチェーン技術によって、時計の真贋を判定できるエコシステムを構築しています。
保証書や保険などにブロックチェーンを活用し、最終的にこの真贋判定機能はモーザーが販売する全時計に採用される予定です。
最近は高級時計の資産価値が非常に重視されるようになってますから、トレーサビリティに強いブロックチェーンと紐づけた保証システムは、今後かなり流行りそうですね。
エンデバー・センターセコンド ジェネシスは製造本数わずか50本。価格は400万円オーバーとなかなかの高額モデルなので入手は難しそうです。
とはいえ、時計業界がいかにWeb 3.0を活用していくべきかを示唆しているモデルですし、モーザー自身、あるいは他社がどう追随していくか気になるところです。
Source: H.Moser