「デジタル広告を独占しすぎている」 米司法省がGoogleを提訴

  • author Thomas Germain - Gizmodo US
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「デジタル広告を独占しすぎている」 米司法省がGoogleを提訴
Photo: Tada Images / Shutterstock.com

アメリカ現地時間で1月24日、米司法省がGoogleを提訴しました。

理由は「15年に渡ってデジタル広告市場に圧力をかけ独占してきた」こと。

アメリカ司法省vsグーグル

司法省「広告業界の競争を妨げた」

米司法省は「(Googleは、)パブリッシャー、広告主、代理店などが使用するデジタルツールのコントロールを握り、広告テック業界における正当な競争を腐敗させた」と訴えています。8人の州検事総長が一丸となり、ヴァージニア州立裁判所にて提訴手続きを行いました。

Google「広告が値上がるだけ」

一方、2020年以降、独占禁止法関連で5つの訴訟を抱えてきた(ある意味ベテランの)Googleは、「司法省による今回の訴えは、競争の激しい広告テック分野において、勝者、敗者を決めつけるような行為」と批判。テキサス州での訴えですでに実証された穴だらけの議論と同じだとし、イノベーションを妨げ、広告費用をあげ、中小企業が苦しむだけだと真っ向から戦う姿勢をみせています。

Merrick Garland法務長官は、同日、記者会見にてさらに反撃。「我々は勝者も敗者も選んではいません。法を犯しているものを挙げただけです」

狙いは広告事業の切り離しか

司法省の狙いは、Googleに広告テック事業を売却させること。それによって、Googleの価値あるビジネス部門を分け、インターネットにおけるGoogleという企業の強大な力を拡散させることにあります。

Googleは公式ブログにて、広告テック企業AdMeldやDoubleClickを買収した過去をなかったものとして、歴史を書き直そうとしていると批判。過去の買収は、司法省含む規制当局側の審査を受け、許可を得て行われたものであるとし、司法省の訴えにには矛盾があると指摘しています。

Googleは広告のほぼすべてに通じる

Googleは広告ビジネスも手がけるテクノロジー企業であると考える人が多いかと思いますが、実際はその逆。検索の巨人Googleは、広告業界の全てに通じています。最大のヒットはGoogle検索で、検索結果の上位に表示されるスポンサー枠が利益の大半を生んでいます。シェアトップのウェブブラウザChromeと合わせて、Google検索は自社に世界最大の消費者データのコントロールをもたらしているのです。

さらに、Googleの広告サービスは、Googleと名のつくもの以外にもあります。他社所有のウェブサイト・アプリの広告シェアも持っています。Googleツールによって誰がどのサイトを観覧しているかデータを収集、どの広告を誰に見せるべきかを決め、その広告枠を広告主に販売しています。近年、競争相手も増えているとはいえ、やはりGoogle(とMeta)はネット広告最大手で市場で力を持っていることに変わりはありません。

大企業に厳しくなったアメリカ政府

アメリカの裁判所や規制当局は、企業に対して比較的フレンドリーな姿勢(つまり甘い)をとることが多いです。

ここ数十年ほどは、消費者に実害(値上げなど)がない限り、たとえ競走相手に影響があっても、反競争的なビジネスの動きに対して裁判所は介入を拒否してきました。さらに、提供するサービスの多くが無料なことで、Googleやそのほかテック企業は規制当局の監視の目をすり抜けてきました。が、バイデン政権はこれを変えたい考え。

今、政府は新たな論説で、裁判所に、法律に挑もうとしているのです。

新たな論説とは、「値上げはしてないけど、市場独占することで消費者のオプション減ってるよね? それって害では?」という攻め方。司法省は、記者会見でも「Googleが自社製品の価格を下げることで、消費者の選択肢を奪っている」とハッキリ主張しています。

安価な独占か、支払う自由か

もし、今回の司法省の訴えが認められれば、インターネットは新時代に突入します。1つの企業が吸収してきた何兆ドルという利益がインターネット中に広がることで、誰も予想できないようなネット体験へ変化していく…のかもしれません。

アメリカよりも企業に対して厳しいのがヨーロッパ。EUのテック企業に対する姿勢は、今年さらに厳しくなります。3月にはデジタル市場法が施行。広告トラッキングからAppleやGoogleが自社サービスをスマホのデフォアプリにすることなどなど、この法律によって多くのことに制限がかけられる可能性があります。

すでに複数の裁判を抱えるGoogleに、アメリカ政府が全力で提訴。そしてEUの新法。今年の向かい風は今までの比ではなさそうです。