公取委、アップルとグーグルの独占禁止法問題の報告書を提出

  • author 宮城圭介
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公取委、アップルとグーグルの独占禁止法問題の報告書を提出
Image: Tada Images / Shutterstock.com

とうとう政府のメスが入る。

公正取引委員会はApple(アップル)とGoogle(グーグル)がアプリ提供者に対して高額な手数料や自社アプリを優遇している行為は独占禁止法上問題になる恐れがあると指摘する報告書をまとめた。

競争が十分ではない

NTTドコモの調査によると

携帯端末台数ベースのOS別のシェアはAppleの「iOS」が46.6%、Googleの「Android(アンドロイド)」が53.4%を占める。

公正取引委員会はOS、アプリストアとともに両社が市場を寡占する状況にあり「競争が十分に行なわれていない」と述べた上で、独占禁止法上問題となる恐れがある箇所を指摘し、両社に対応を求めました。

  • 自社アプリをアプリストアランキング上位表示し、有利な立場に置くこと
  • 競合アプリを恣意的にリジェクトし、不利に扱うこと
  • アプリ審査を通じて他社、アプリ事業者が提供する新機能・サービス開発を自社のために利用すること

など合計8項目を指摘しました。

競争環境の確保を、法律でバックアップ

モバイル・エコシステムは、消費者の日常生活の基盤として機能しており、一定程度の公共性が生まれてきている。

公正取引委員会は上記のように語り、Google、Appleがそれぞれ公正な競争環境を整備していくことが望ましいとしています。

たとえば、消費者がOSの切り替えを簡易にするためのデータ移行ツールを無償提供することや、参入しやすい環境を作ることが望ましいとしています。公正取引委員会も両社がこのような取り組みを自主的に行なう可能性は低いことを理解しており、実効性を確保するために、法整備での担保が有効であると考えています。

政府は今後、報告書を踏まえて各国と連係しながら法整備を判断するとみられます。

1ユーザーとして

今回の動きは、個人的に賛成できる内容でした。 成熟期に入ったモバイル市場は、さらにプレイヤーを増やすことで新しい変革を迎える時が来ているのではないでしょうか。そのために多くの開発者に門戸を開き、適切な競争を促す法整備は重要です。一方でこれまで悪意のあるアプリの侵入や悪徳なアプリが配布されることを(すべてとは言えないまでも)防いできたGoogle、Appleの功績も大きいと思います。安全な環境のおかげで、ユーザーが多く参加し、たくさんのアプリが誕生する背景になったことも事実です。

さらにリテラシーを求められる時代へ

今後Google、Apple以外のアプリストアが隆盛すると、優れたアプリと、ユーザーの脅威となるアプリを自身で見極める力(リテラシー)が問われる時代に入るはずです。それを踏まえて、再び圧倒的パワーによる市場支配を望むのか、自由に開かれた市場を望むのか、これからのモバイル市場のあり方は私たちに委ねられています。

Sorce: NIKKEI,公正取引委員会