ブロックチェーンのうまい活用法、求む。
最近よく耳にする「web3.0(Web 3)」。これは、「特定の組織に情報や権力が集中しない民主的なネットワーク」といった意味で使われています。
そのメインとなる技術が「ブロックチェーン」。電子データのやり取りのログを、ネットワーク上に分散して管理するというものです。

このブロックチェーン技術を中心としたweb3.0の博覧会「HANEDA WEB3.0 EXPO 2023」が、2月10日、11日にかけて羽田空港第1ターミナル6階ギャラクシーホールにて開催されています。その模様をレポートします。
農業や漁業でNFTを活用

「NFTプロジェクト Abyss Crypto」のブースでは、NFTを取り入れて、牡蠣や果物といった水産品や農作物を販売する仕組みを紹介。
このプロジェクトのNFTを持っておくと、ちょっと割引された価格で牡蠣や果物が買えるだけでなく、商品といっしょに専用のトークン(コイン)がもらえます。トークンは、デジタルアートと交換するなどの使い道を考えているのだとか。
水産物を始めとする一次産業の商品ってブランディングがものすごく難しい&時間がかかるものですが、NFTを組み合わせることで、通常の通信販売とは異なる付加価値を生み出し、リピート購入するファンを増やそうという試みです。
ブロックチェーン(NFT)を使った一次産業のブランディングは、これからいろいろ出てきそうですね。
Lunascape、お前ここにいたのか!

ブロックチェーンを使用したweb3.0のビジネスを支援するG.U.Technologiesは、モバイルブラウザの「Lunascape(ルナスケープ) web3 Browser」にweb3ウォレットを搭載(現在、ウォレット機能はiOS版にのみ搭載)。これにより、専用アプリの必要なく、暗号資産やNFTなどを扱えるようになります。

「Lunascape(ルナスケープ)」の名前には、覚えがある人もいるかもしれませんね。Chromeが登場する以前、「タブブラウザ」としてたくさんのブラウザがシェアを競い合っていましたが、その中でも人気だったブラウザのひとつです。これ、ぼくもWindowsで使ってましたよ。まさかこんなところで再開するとは!
なお、同社ではweb3ビジネスの土台となるブロックチェーン・プラットフォーム「Japan Open Chain」も展開。電通、みんなの銀行、ピクシブなど、おなじみの企業がブロックチェーンのノード・サーバーの運営として参加しています。
新しくweb3サービスを立ち上げようとしたとき、イーサリアムなどのブロックチェーンを土台にする必要があるわけですが、海外の組織とのやりとりにハードルを感じる人もいるでしょう。その点、国内で運営されているJapan Open Chainなら国内でのサポートが充実してそうです。
Wi-Fiを使った屋内位置情報サービスが便利

ブロックチェーンとは直接の関連性がないのですが、たいへん便利なサービスが紹介されていました。川崎重工業の屋内位置情報サービス「iPNT-K」です。
これは、空港や駅、商業施設など、GPSの信号が届きにくい屋内での位置情報を、Wi-Fiの電波を使って取得するというサービス。

アプリ自体はすでにAppstoreやGoogle Playで配信されており、会場である羽田空港内のマップもありました。目的のショップまでの経路表示もしてくれます。
駅や空港といった公共交通機関や、大きな商業施設などでも利用できるそうです。屋内ではGPSを使ったナビが使えないことが多いので、このサービスはいいですね。
さらに、このシステムを工場などのローカルな場所でも使えるようにすることで、製造業の効率化を図れるようにもなるそうです。
web3.0はまだまだこれから

web3.0は、ブロックチェーン技術を中心とした概念。ブロックチェーン自体はとても有用なものですが、現在は仮想通貨やNFTでの活用がメインで、それ以外の活用法はまだこれから、という状況です。
私たちがブロックチェーンを生活レベルに落とし込んで理解できるのは、もうちょっと先のこと。今後、コンシューマー向けのコンテンツにブロックチェーンが活用されるようになれば、web3.0がもっと身近に感じられるのではないか。そんなことを感じたイベントでした。
Photo: 三浦一紀