クリエイターPCを身近に。
そんなコンセプトを追求するHP ENVYシリーズの最新モデル16に触ってみました。
よくあるHPの仕事用ノートとは違って、ENVYはコンテンツ作成やちょっとしたゲームにも潰しが効くPCです。16インチ・16:10・4K・タッチ対応ディスプレイ、第12世代Intel HシリーズCPU、独立GPUとしてNvidia RTXのオプションもあって、DDR5 RAMは最大32GB、ストレージは最大2TB。これだけタフなら、こなせないタスクはないでしょう。
HP Envy 16


これは何?
コンテンツクリエイタ―仕様のノートPC。大きめの4K画面とRAM、ストレージ容量、超速なプロセッサを求める人にぴったり。
価格
・1,399ドル~(*レビュー機は2,799ドル、約37万円の最上位モデル)
・日本はパフォーマンスモデルが税込26万2000円から(スペック詳細)
好きなところ
・たっぷり広い4K有機OL16インチディスプレイ
・タッチ対応
・Bang & Oulfsenクアッドスピーカー
・高速プロセッサ
・グラフィック性能抜群
・Webカメラも意外といい
好きじゃないところ
・音がうるさい
・キーが見づらい
ニーズに合わせて選べるスペックと価格
HP ENVY 16のベースモデルはIntel Core i5-12500H CPU、DDR5 RAM16GB、ストレージ512GB、Windows 11 Homeエディション搭載で1,399.99ドル(日本はProエディション搭載で26万2000円とあります)。HPからお借りしたレビュー機は16インチ、タッチ対応4K有機ELディスプレイ、Intel Core i9-12900Hプロセッサ、NVIDIA GeForce RTX 3060 Laptop GPU、DDR5 RAMは32GB、ストレージは2TBの最上位スペックのものでした。Windows 11 Proエディション搭載で、気になるお値段2,799.99ドルです。
予算に合わせて、4K有機ELスクリーンやCPUやGPU、グラフィクスカード、ストレージ容量のオプションを取捨選択するわけですが、個人的に外せないのは4K OLEDですねー。もうこれがあるとないとでは段違いに違うので、ネクストレベルに押し上げたいならぜひ。

何も考えなくても使えるレイアウト
HPのENVYは奇をてらうデザインとは無縁です。ENVY 16も例外ではなく、パッと見、15と同じカラーなので見分けがつかないほどですが、よく見るとボディが少し浮いていて冷却性能が上がっていたりします。HPのロゴに加え、ENVYの文字も入って、MacBookじゃないぞ感を醸し出しています。
まあ、MacBookほどちっちゃくないので間違える人もいないと思いますが。ENVY 16は14.07 x 9.91 x 0.78インチ(357 x 252 x 20mm)で、重さ5ポンドちょい(約2.67kg)。結構な存在感です。
このナチュラルシルバーは高級感あるカラーなので変えなくて正解。ただ光の入り具合によってはキーの文字が見づらいこともあるので、ブラインドタッチ苦手な人は部屋の照明とか調整しなきゃいけないかもしれません。あと指紋がつきやすいのも玉に瑕で(画面もタッチ対応)、ついつい拭いてしまってる自分がいました。
ディスプレイとサウンドがすばらしい
HP ENVY 16は画面がきれいで、これまで見たノートPCでもベストに入ります。輝度最大400二ト。直射日光が入るとさすがに見にくくなりますが、それ以外は大丈夫でした。ブルーライト遮断機能も使えるので、PCにずーっと張り付いてる人はこれをONにすると眼精疲労の予防になって、仕事の能率も上がりそうです。
映画もゲームも快適
レビュー機は4K OLED、2560 x 1600のディスプレイでこの解像度としては高速なリフレッシュレート120Hz。映画やゲームも快適で、変な画像の乱れが入ることもありません。

ENVY 16はAdobe RGBに100%対応しているので、ものすごく微妙なカラー表現も忠実に再現されます。Adobe Suiteを使うなら、これもうれしいポイントですね。
カラーと言えば、ENVY 16は本当に生き生きした色が楽しめるマシンでして、試しに『アベンジャーズ エンドゲーム』を再生してみたんですけど、本当に色が豊かで正確なんです。もっと明るいPCも使ったことあるけど、ここまでとは。黒は深い漆黒でディテールが際立ちまくりです。
ただ、さっきも書いたように、日光は照り返しちゃうので日中野外で映画を楽しむような用途には不向きかもしれません。
タッチで操作することは正直あまりなかったです。個人差もあると思うけど、タッチはHP Envy x360みたいなタブレット兼用ノートなら出番あるけど、ノートPCではそこまで使わない気がします。
B&Oのスピーカーが最高
オーディオに関しては、Bang & Olufsenのスピーカーが4基入ってて、2つは底部、残り2つはキーボードの両サイドなので、まさにサラウンドサウンドです。
音域が広いクイーンの『ボヘミアン・ラプソディ』を流してみたら最高でした。個人的には重低音がやや強めに感じましたが、 中音も高音も澄み切ったサウンドで、くぐもるところもありません。急に音量が変わるパートも無理なく再生されましたよ。
パーティーのDJに使うほどじゃないにしても、仕事で音楽を流したり家でNetflix観るぶんには十分な音量が出ます。
音にこだわる人は付属のBang & Olufsenオーディオ管理アプリを使えば、ノイキャンからEQまで好みに調整も可能。あらかじめ音楽、映画、ボイスの3つのオプションが入っていますので、映画のときは面倒でも映画モードにするのがおすすめです。BGMがうるさくて声が搔き消されてしまうシーンも、背景ミュージックが抑えられて、ずっと台詞が聞き取りやすくなりますよ。
さらに手動で低音、高音、会話も調整できるほか、画面の音源の方角にスピーカーが切り替わる「スピーカースワップ」機能もあります(縦に持ちかえることが多いタブレット兼用の2 in 1向きの機能だけど、あるに越したことないよね)。
ポート満載

13インチM1 MacBook Proを使ってからHP ENVY 16を手に取ると、ポートがいっぱいついててホッとします。チョイスもよくて、右はThunderbolt 4 USB-C、USB-A、HDMI 2.1と電源、左はUSB Type-A(右と違って左はカバーを開ける式)、3.5mmのイヤホンジャック、microSDカードリーダー。これならクリエイターも大満足できそうです。
キーボードの使用感

さっき文字が見づらいと書きましたが、キーボード、悪くないです。というか、とても快適に使えます。キーも詰まってないから怒涛の打鍵で指が吊ることもありません。こんなに面積あるのにテンキーがないのは一瞬アレ?となったけど、テンキーがないおかげで、画面の下の真ん中にキーがきたのはボーナスですかね。
ファンクションキーには音量、F1キー、画面の明るさ、バックライトON/OFFボタンと、あと絵文字専用キーもあるのが面白いですね。Webカメラやマイクを切るキーなんてのもあって、毎日Zoomでテレワークの人は重宝しそう。ONのときはLEDが灯るので、コロナ初期の放送事故みたいなことになる心配もないです。
タッチパッドは面積たっぷりの4.0 x 3.1インチ。Windows 11のジェスチャーは全部できました。スクロール、ズーム、スワイプもラグがなくて滑るような操作感。
Webカメラ最高。まるで出社しているかのように映る!
処理性能以外に目立った特長がないと思いきや、HP ENVY 16はWebカメラがすごくて、テレワークでは大活躍です。競合はせいぜい1080pで、ひと昔前の720pだったりもしますが、HP ENVY 16はそんなの目じゃないです。
画素数500万・赤外線カメラ採用でWindows Helloの顔認証もできるほか、デュアルアレイマイクと「HP True Vision」も使えます。True Visionというのはビデオ通話・録音の画質を最適化するHP独自のテクノロジーのこと。暗所最適化、動的コントラスト調整、ノイズ除去などなど幅広い機能を備えていて、暗いところでも映りがナチュラル。
さらに True Visionはマイク用フィルター付きなので、背景の邪魔な音が消えて声が聞き取りやすくなります。照明は朝の寝起きの顔でも大丈夫な白画面エフェクトでだいぶ助かりました。キーボードのボタン押すだけでカメラとマイクがOFFになるのも救世主。
パワフルな処理性能
ENVY 16でHPはコンテンツクリエイターを満足させつつ、ポータビリティもこだわられています。
レビュー機は第12世代Intel Core i9-12900H CPU、RAM32GB、RTX 3060、2TB M.2 SSDというハイスペックマシンだったので当然サクサクです。32GBもあるとマルチタスクは楽勝です。ウィンドウ、アプリ、動画を同時に複数起動してもラグは一切感じられませんでした。
Adobe Suiteのような重いアプリも大丈夫ですし、Adobeカラーを100%サポートしているとこんなにも違いが出るのか…と、写真や動画を編集中も微細な表現力に驚きました。
ゲームもちゃんと動きます
レビュー機のGPUはNVIDIA GeForce RTX 3060で、VRAMは6GB。プロゲーマーには物足りないかもしれないけど、AAAタイトルも快適にプレイできますし、なんといっても有機ELなのでカジュアルゲーマーはゲームの躍動感に仰天です。リフレッシュレート60Hzの際でも映像が滑らかで安定してるんですね。
『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』と『ファークライ5』 をダウンロードして4Kの高解像度に設定してやってみたら、前者は46fps、後者は平均36fpsで、カクカクすることもあってノイズもかなり出ます。でも1080pまで解像度を落とすと前者は78fps、後者は平均86fpsで、それほど映像に違いは出ないのに安定感が一挙にアップしました。あんまり無理すると、限界になる前に熱くなって音も出るので、すぐわかります。バッテリー持ちのことも考えると、ハードなタスクをするときはコンセントにつなげて…となっちゃいそう。
ベンチ結果はGeekbench 5がシングルコア1,765、マルチコア11,667。同等レベルの競合よりスコアは伸びています(たとえばDell XPS 15はシングルコア1,187、マルチコア7,258 )。
動画については、Handbrakeで4Kを1080pに変換する時間を測定してみたら6分ちょっとでできました。
バッテリー持ちは今ひとつかな…
残念ポイントはこれ。公称9時間30分のところ、輝度を200二トにして動画連続再生する編集部独自のテストでは6時間37分しか持ちませんでした。標準搭載のCommand Centreアプリで少し設定をいじればバッテリーは節約できますが、目立った違いは出ません。充電は専用ジャックかUSB-Cポートででき、だいたい3時間でフル充電できます。

HP ENVY 16は買い?
サウンドとビジュアルがずば抜けて優れた高性能なワークステーションを探しているならHP ENVY 16も十分アリだと思います。クリエイティブ、カジュアルゲーマーのみならず、動画コンテンツや文書を作ってネットを楽しむ頼れる1台を求める一般ユーザーもいけそう。
4K有機ELのディスプレイは、自分がこれまで見たノートPCのなかではベストと言っていいほどです。Webカメラも最高で、ZoomやTeamsのヘビーユーザーは高解像度・照明最適化・ノイズリダクションのよさが実感できるはず。
バッテリー持ちと重さがネックと感じるならMacBook ProやHP x360のほうがコンパクトなので(高性能で画面もきれい)比べて選びたいですね。