スーパーボウル2023を可能にした11のテクノロジー

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  • author Mack DeGeurin and Andrew Liszewski
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スーパーボウル2023を可能にした11のテクノロジー
Image: rarrarorro / Shutterstock.com

世紀の逆転劇に全米1億1300万視聴者が熱狂。

米ステートファーム・スタジアムで開かれた第57回NFLアメリカンフットボール年間王位決定戦(スーパーボウル)は、カンザスシティ・チーフス(AFC王者)がフィラデルフィア・イーグルス(NFC王者)を38-35で下しましたね!

ハーフタイムは、第2子を宿したリアーナがステージを務めました。

熱いモーメントを捉えた先端テクノロジーの数々を少し振り返ってみましょう。

1. 4Kライブ配信

スーパーボウルの4K/HDRライブストリーミングは2020年が最初でしたが、あのとき使っていたカメラはまだ1,080P HDRでした。でも今年Foxがスタジアムに投入したカメラ94台のうち32台は高フレームレート撮影可能なHDRカメラで、12台は4K/8K対応。汗の粒までズームインできました!

インフレ抑制策が功を奏したのか、チケット代は前年より抑え気味になりましたが、それでもまだ1枚平均 5,596ドル(約74万円)もします。

ふだんNFLの有料チャンネルが見れない人もスーパーボウルだけは別で、FOX Sportsが無料で解放してくれるし、サンフランシスコなんかではTVのないホームレスを集めてビューイングパーティーやってました。まさに国民的行事。

家で見ているほうがよく見えるのはカメラのおかげですねー。

2. 頭上をびゅんびゅん飛んでるSkycam

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Image: Wikimedia - Despeaux

Spycamじゃないよ。Skycam

球を追いかけまくるカメラです。コンピュータ制御のケーブルで上下左右、縦横無尽に動けます。最大時速47km。

NFLで初めて使われたのは1984年サンディエゴで開かれたプレシーズン戦だったので、もう40年近く使われ続けています。

スーパーボウルでは2017年から使われている技術で、今年は4Kカメラとスローモーションカメラ搭載のSkycamがダブルで採用されました。

発明したのはGarrett Brownさん(「ギンボル」と言ってんのは「ジンバル」のこと。英語で発音するときは気をつけまひょ~)
Video: The Henry Ford/YouTube

3. AIの力で高品質スロモ映像を生成

100台近いカメラから集まってくるデータは膨大です。それをリアルタイムでクランチして美しいスローモーション映像に生成してくれるのは、ほかならぬAIの力です。

FOXの委託先のEVS’ XtraMotionサービスでは映像のコマとコマの間を機械学習アルゴリズムで人工的に埋めてフレームレートを高め、スローモーションの再生に耐えうるレベルに引き上げる作業をこなしています。

たとえば60fpsで撮って180fpsにしたり、高フレームレートカメラで撮った180fpsの映像を540fpsのスーパースローモーション映像に変換したりも可能。

スポーツ中継でよく使われるのはXtraMotionのクラウド版ですが、第57回スーパーボウルではFoxのコントロールルームで処理を行なうことにより生成出力スピードを格段に高めました。

4. ドローンを飛ばせるのはプレゲームだけ

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Photo: Gizmodo

今大会で国歌斉唱後スタジアム上空を飛んだパイロットは全員女性。女性海軍入隊50年を記念した計らいでした。

スタジアム全体を俯瞰する空撮でFOXが使ったのはもちろんドローンです。これは強力なスタビライザー搭載型ドローンと、スタジアム内部の狭い空間にも入り込めるFPVドローンなど用意しました。

会場周辺と主催地グレンデール市の警備でもドローンは大活躍でしたが、試合前にすべて着陸となりました。

治安上の理由から試合中はスタジアム上空が飛行禁止区域に指定されるのです。放映権のあるFOXといえども、飛ばすことは許されません。

5. フォーメーション解析もAI

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Image: BYU University

出場選手決定後は両チームとも映像をあらゆる角度から分析して戦法を練りますが、これはとても根気の要る作業です。

そこでなんとかしようとブリガムヤング大学研究班がつくったのが、選手の動きをディープラーニングとコンピュータビジョンのアルゴリズムで特定・追跡し、フォーメーションやプレイを割り出すシステムです。

最初はとりあえず大学のアメフト部の映像をフィードしてトレーニングして、その後はビデオゲームの『Madden 2020 』で対応できるアングルを広げて精度を高めました。

選手特定の命中率は今のところまだ90%、フォーメーション命中率は85%ですので、まだNFLのチームで採用できるレベルじゃありませんが、 映像アナリスト廃業の日は近い⁉

6. 酔っぱらい送迎はWaymoの無人タクシー

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Screenshot: YouToube

NFLファンの空港・市内(スタジアム行きを除く)の送迎に使われたのはAlphabet傘下Waymoのシステム搭載の自動運転車です。

昨年後半フェニックス市内で自動運転タクシーを正式オープンしたのに続く大舞台となりました。

無人タクシーをWaymoアプリで呼び出すと現れるのは、おしゃれなEV「Jaguar I-PACE」。

米運輸省交通局(NHTSA)によると、スーパーボウルの日曜日、事故が多発するのは夕方の6時から朝6時までの間で、半分近くは酔っ払い運転。

自動ドライバーなら飲酒・疲労・前方不注意の心配もないし、スーパーボウルのようなビッグイベントの会期中の安全向上につながる。

とWaymo(City Timesからの引用)。おかげで目立った事故もありませんでした。

7. 熱戦ではSurfaceも消耗品

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コーチが持っている青いタブレットがSurface
Image: ChuckModi/Twitter

ゴムのごっついケースにくるまれて、ほぼ原型をとどめていませんが、これ、Microsoft Surfaceです。

選手がインスタントリプレイ、レビュー、リアルタイムの試合分析に使っています。

NFLではチームごとにいろんなタブレットが使われてきましたが、今のリーグ公式デバイスはSurfaceで、2020年に提携を結んだときのMicrosoft(マイクロソフト)の発表では、世界35のスタジアムで2,000台のSurfaceと170のWindowsサーバーが使用されているって話でした。

さらにNFLはMicrosoft Teamsもリーグ全体で採用しています。文書共有も遠征のスケジュール調整もNFLはTeams。

試合ではよく投げられます。

ペイトリオッツのコーチ、ビル・ベリチックも投げて問題になったし、最近引退したトム・ブレイディなんて1試合で2台投げて全32チームに罰金の警告が出回ったこともあります(上のTwitterの動画がそれ)。

8. 脳を守る?「Q Collar」が選手に人気

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効くかどうかは「?」
Screenshot: Q30 Innovations

フットボールといえば心配なのは脳震とう脳損傷です。

2022年のシーズン中は18%も増加(NFL発表)。スーパーボウルでも199ドルの「Q Caller」を首に巻き付けてる選手の姿がちらほら見られました。

いちおう脳の静脈の血のめぐりをよくするってことで昨シーズンからNFLで大反響のプロダクトなんですが、効き目はまったくないという声もあります(NYTが取材したウェスト バージニア大学ロックフェラー神経科学研究所Matt Tenan所長もハーバード大学ブリガム・アンド・ウィメンズ病院マーサ・シェントン精神医学&放射線学教授も懐疑的)。

9. メタバース版スーパーボウルもあったよ

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Image: Roblox

メタバースがMetaマーク・ザッカーバーグCEOの200億ドルの熱い夢で終わりそうな今日この頃ですが、スーパーボウル開催の週末はゲームプラットフォームRobloxでメタバース版スーパーボウルも開かれました。

10日から試合開始まで1時間おきに31時間、ラッパーのSaweetieが Rhythm City(ワーナーミュージックが昨年開設)に出演。

11. 6万4000人のデータ通信を支えたのはシスコ!

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Image: Ken Wolter / Shutterstock.com

6万4000人近いファンが一堂に会しスマホでTikTokやら何やら送るとなるとワイヤレスも限界です。

当日ダウンしないように、シスコとステートファームは共同でスタジアムのWi-Fiとデジタルアンテナシステムを強化しました。

2015のWi-Fiトラフィックが6.2TBで新記録だった。去年は31TB超え。スタジアムのサイズは変わらないから観客数も変わっていない。なのにこれだけ増えている。なにしろ常時モバイルだからね。

とシスコ社スポーツ&エンターテイメントソリューショングループのKen Matinさん(Sports Business Journalの取材に答えて)。

アップグレード後の通信容量はなんとペタバイト!