iPhoneだから可能になった撮影スタイルがある。
全国のApple Storeでほぼ毎日開催されている「Today at Apple」。iPhone、iPad、MacといったApple製品を使ってデザイン、映像、写真、音楽制作、プレゼンなどのヒント&ティップスを教えてくれる無料のセミナーです。
ギズモードでも昨年、amity_senseiを講師に招いたイラストのセミナーに潜入してました。
それに引き続き、今回はApple丸の内で開催された、動画クリエイターぞのさんっによる映像制作セミナーに参加してきました。その模様を早速レポートしましょう。
iPhoneで動画クリエイターに転身

ぞのさんっはSNSを中心に活躍している人気の映像クリエイター。フォロワーはTikTokで約300万人、Instagramで約100万人という超人気インフルエンサーです。
もともとは建築設計の勉強と仕事をされていて、世界各地の名建築を資料として撮影しているうちにハマっていき、コロナのパンデミックで社会が揺れたタイミングでSNSに専念。そのユニークな動画がウィル・スミスなどの有名人から注目されて拡散され、一気に世界的な存在になりました。
@zono.sann Valentine Transition????#映像で遊ぼう#tiktok教室#ぞのさんっ#フォーシーズンズ#バレンタイン♬ KICK BACK - Kenshi Yonezu
今回のセミナーでは、ぞのさんっがiPhoneで撮影した映像素材を元に、MacのiMovieで編集して15秒程度のショートムービーを制作してみようというもの。学生さんを中心に、明日のプロ映像クリエイターを目指す人なども参加してなかなかの盛況ぶりでした。
iPhoneとiMovieの組み合わせは、映像制作のシステムとしてはもっともシンプルなものですが、それでもやり方次第でプロ並みの映像を作れます。シンプルな分、誰でもすぐに使いこなせるし、それでいて基本的な機能はちゃんと網羅されていますからね。
今回ぞのさんっが用意してくれた映像素材は、Apple Storeを訪れた主人公(=ぞのさんっ)が店内でAirPods Maxを試聴。すると場面は一気に雪の北海道に飛び、空想の世界と現実がシームレスになっていくというものです。全5シーンほどですが、それをうまく組み合わせてストーリー性のあるショートムービーを組み立てられるかが勝負です。
ショートムービーはコンセプトが大事

ぞのさんっによると、まず素材に関しては各シーンの頭でパンニングなどをうまく使えば、エフェクトやトランジットなどの加工はそれほど必要ないということ。この辺は絵作りのセンスが問われますが、ぞのさんっは納得できる映像が撮れるまで、20〜30テイク撮り直すことも珍しくないんだそうです。
あと、ショートムービーで重要なのは、ずばり「コンセプト」。もっとも伝えたいことは何なのかを、文字などで補足しなくても伝わるというシンプルさを重視しています。
特にショートムービーはつかみで引き込めないと見てもらえないし、説明が必要な映像では海外の視聴者には相手にされません。いわゆる「映え」を重視したきれいなだけの映像ではキビシイわけです。
何回でも撮り直してiPhoneで納得いくテイクを記録すること、コンセプトをより尖らせるための編集テクを身につけること、が2大ポイントですね。
実際にぞのさんっがセミナーで行なった編集作業では、かなり苦労して撮ったシーン(ここでは冒頭のApple Storeに入店していく場面)でもちょっと冗長だなと思ったら、その場でばっさりカットしていました。あくまでコンセプトに沿ったものをだけを残すという大胆な決断ができるっていうのは、優れたクリエイターの資質ですよね。
あとショートムービーはテンポ感重視です。撮った映像をそのまま等速再生することはほとんどなく、ちょっと早回し気味に編集して間伸びさせないことがポイント。
バックの音楽も重要度が高く、BPMが速めの曲をシーンに合わせて細かく使い分けたりと、いろいろなテクニックを駆使していました。ぞのさんっは毎回曲選びには時間をかけるそうですが、音楽次第で再生数が2〜3倍変わることもあるそうですから、今までBGMをないがしろにしていた人はちょっと慎重になった方がいいかもしれません。

最後にセミナー参加者が編集した映像もいろいろチェックしましたが、同じ素材でも編集次第でかなり見え方が変わってくることが実感できました。
Apple製品を使えばセンス次第で世界的に注目される映像が生み出せるかもしれないし、特に学生さんは春からの新生活に向けて挑戦してみるのもいいかもしれません。今ならApple Storeで学割価格が適用されるし、お得なギフトカードもプレゼントされますしね。