真菌感染の予防接種開発。人での初期実験を計画中

  • author Ed Cara - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岩田リョウコ
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真菌感染の予防接種開発。人での初期実験を計画中
Image: Shutterstock

温暖化の影響で菌による感染が増えているそうです。

ジョージア大学の研究チームは現在、危険な真菌に対するワクチンの開発中です。今のところ、ワクチンの動物実験では人を重病に陥れる危険な3種類の真菌への感染や死亡を減らすことができたそうで、次は人での臨床実験に移っていくそうです。

真菌由来の感染は少ないけど…

ウイルスや細菌と比べると、真菌によって引き起こされる病気は一般的ではありません。というのも、人間の体は真菌が棲みつくにはちょっと熱すぎることと、体内に入っても感染に至らないようにする免疫があるのです。でも、気候変動によって真菌による感染症が増えていることを研究者たちは懸念しています。真菌による病気が一般的ではないとはいえ、重病を引き起こすことだってあります。特に健康状態が良くなく免疫が下がっている人たちには、真菌が体内で増える可能性があります。真菌の感染症は治療や予防が難しいので、今のところ真菌用に認可されている安全なワクチンがあまり存在しないのが現状です。

ジョージア大学の研究チームは、このワクチンの研究は真菌による最悪のケースを防ぐための大きな一歩で、死に至ることもある3大真菌「ニューモシスチス」、「アスペルギルス」、「カンジダ」から人間を守るためのワクチンだと話しています。ワクチンは、免疫機能に対して真菌が発するタンパク質を見分けさせるようになっていて、これによって3大真菌への免疫を高めるというものです。

死者数と医療費の軽減につながる

これまでマウスやアカゲザルでワクチンの実験をしています。ワクチンを接種した動物としていない動物が真菌に晒された後に、どのような結果になるかを観察すると、予想通りワクチン接種した動物の方は、真菌に対する抗体を生成していました。開発されたワクチンは、しっかりと真菌の感染を防ぐことが証明されたというわけです。今回の実験研究については、こちらで論文が発表されています。

論文によると、毎年世界中で死に関わるような真菌の感染症は1300万件も発生しているそう。ほとんどのケースが3大真菌の感染で、真菌での死亡の8割が3つのどれかの真菌によるもの。しかも真菌の治療にかかるとされる1年間の医療費は、アメリカだけで67億ドル(約8804億円)。ワクチンが開発されれば、感染症も医療費も減るってことですね。これから人で臨床実験が始まるそうです。

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