再生可能エネルギーが奮闘するも、増え続けるCO2排出量

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE
  • はてな
  • クリップボードにコピー
  • ×
  • …
再生可能エネルギーが奮闘するも、増え続けるCO2排出量
Image: Shutterstock

CO2、減らせてない(涙)。

国際エネルギー機関(IEA)は、世界のエネルギー関連のCO2排出量が、2022年に過去最高を記録したことを発表しました。2021年から2022年にかけて、エネルギーに関連するCO2排出量は約0.9%増加の368億トンと、史上最高記録を達成。それでもこの増加率は過去数年間よりは少なく、実は2020年から2021年においては6%増加しています。COVID-19のロックダウンの影響で国外への移動が制限されたことで、2020年は僅かに減少したものの、ロックダウンが解除され始めた2021年、CO2排出量は急増していました。

約0.9%と、一見わずかに見えますが、確実に増加しています。この背景には、昨今のウクライナ情勢や、気候変動が深く関係していました。

成長を見せた再生可能エネルギー

この微増には、ウクライナ戦争によるエネルギー危機によって、世界中で再生可能エネルギーの利活用が増えたことが影響しています。太陽光パネルや電気自動車など、クリーンエネルギーの普及により、石炭や石油の利用拡大に伴う影響を一部相殺したとIEAは発表しています。

昨年、再生可能エネルギーは全世界における電力需要の伸びの90%を満たしました。世界中で干ばつ被害が発生しているにも関わらず、特に水力発電の量は2021年から2022年にかけて実際に増加し、IEAは「水力発電の発電量が減少するような干ばつがなければ、世界はCO2排出をもっと避けられた」と報告しています。

また、天然ガスによるCO2排出量は1.6%減少。これはウクライナ戦争による天然ガスの高騰と、ロシアからの供給脱却が推進されたことにより、特に欧州では大幅な減少が見られました。

それでも増え続けるCO2排出量

しかし、高騰した天然ガスの代わりに石炭を利用した国も多く、世界の石炭によるCO2排出量は1.6%増加しています。

またIEAの分析によれば、2022年の気候変動の影響で、化石燃料エネルギーへの依存度が高まりました。昨年の7月と8月のアメリカは、天然ガスの使用量が40%を超え、中国では8月に石炭発電が急増しています。また夏の気温上昇前は、どちらの国も2022年上半期のCO2排出量は実際に2021年の報告された排出量よりも低かったとのこと。

グローバルカーボンプロジェクトの議長であるロブ・ジャクソン氏は、AP通信に以下のように語っています。

成長する余裕もなく、停滞する余裕もありません。地球にとっては、削減か混沌です。CO2排出量が増える年はいつだって、我々の健康にとっても、地球にとっても悪い年なのです