利益ってこうやって作るんだ。
Apple(アップル)が作るプロダクトは、スタイリッシュでパワフルで使いやすいですよね。
デバイス間の連携も美しくて、iPhoneでコピーしたテキストをMacBookの文書に貼り付けるとか、AirPods付けっぱなしで音楽再生デバイスを切り替えるとかも簡単です。
でも逆に、Appleのせいで面倒が増えてたり、余計なお金がかかってたり、安全じゃなくなったりする場面もあります。
たとえばApp Storeではなぜすべてが若干高いんでしょうか? どうしてMacBookはUSB-Cで充電できるのに、iPhoneはできないんでしょうか?
そんな疑問をAppleにも直接ぶつけたんですが、記事執筆時点で回答はありません。
なのでとりあえず、この記事ではそんなApple謹製の不都合な真実をまとめていきます。
1. 緑のメッセージ

iPhone同士でテキストメッセージを送るとき、吹き出しの色は青なんですが、iPhoneとAndroidの間だと緑になります。この違いは、単なる色だけじゃありません。
iPhone同士のメッセージは、エンド・トゥ・エンドで暗号化されてます。つまり、もっと安全で秘密が守られるってことです。
でもiPhoneからAndroidに送るとき、メッセージは1992年にできた古いSMSプロトコルでやりとりされてます。
そのせいで暗号化されないだけじゃなく、メッセージへのリアクション(ハートとか)の互換性がずっとなかったり、iPhoneとAndroid間で送られる動画が圧縮されてすごく低画質になったりもしてました。
これはiPhoneとAndroidの間の問題ですが、責任はApple側にあるようです。Google(グーグル)はこれらを解決できるRCSというプロトコルを採用したんですが、AppleはRCS採用を拒否しているようです。
または、AppleがAndroid用iMessageアプリを作ることも解決策のひとつですが、彼らはそれもしていません。
Epic GamesがAppleを訴えた訴訟で浮上したメールの中で、Appleのソフトウェア担当シニアバイスプレジデント、クレイグ・フェデリギ氏はこう言ってます。
Android用iMessageができれば、iPhoneユーザーの家族が子どもにAndroidスマホを渡すための障害がなくなるだけだろう。
…つまり今は全員iPhoneでそろえている家族でも、Android用iMessageができたら「子どもには安いAndroidでいいよね」となるのが心配なんですね。
別のApple社員は、「Appleの世界から出られない一番(の理由)はiMessageです。iMessageは深刻な囲い込みに相当します」と言います。言い換えれば、競合つぶしです。
Appleのティム・クックCEOはある記者からRCS採用について聞かれたとき「ママにiPhone買ってあげて」と茶化しました。
でもiPhoneにはお金を払ってるのに、メッセージが緑になるのはお母さん側じゃなく、自分なんです。
Appleは忠実なファンに対しても、ファンじゃない人にも、自社の利益のために負担をかけてるんです。
2. iPadに電卓アプリがない

ちょっと信じ難いんですが、iPadが生まれてから13年経つ今に至るまで、iPadには純正電卓アプリがありません。もちろんサードパーティの電卓アプリはApp Storeでダウンロードできますが、iPhoneみたいに最初から入ってる電卓アプリはありません。
いにしえの言い伝えによれば、この世にiPadが生まれようとするとき、創造主スティーブ・ジョブズは電卓アプリのデザインに納得できなかったそうです。
当時準備されてたiPad用電卓アプリは、iPhone用のを単にスケールアップしただけでした。かといって新たにアプリを作る時間もなかったので、iPadは電卓なしでローンチされ、13年間そのままになってる…という話です。
ちなみに天気アプリができたのも、2022年のことでした。
YouTuberのMarques Brownlee氏が、Appleのクレイグ・フェデリギ氏にこの件について聞いています。
「できてないことがあるのは、やるなら他と違う本当にすごいことがしたいからです」とフェデリギ氏。
電卓アプリを作るのはもちろん簡単ですが、『これぞ最高のiPad電卓アプリだぜ!』となるものを作り出すのは…。電卓を作るなら、本当に本当に上手に作りたくて、正直まだそれができていないのです。
でも、他にも理由はあるんじゃないでしょうか。Appleはテックメディアの中で、間違いを認めないためなら何でもすると言われています。何らかのプライドが、邪魔をしているのかもしれません。
3. Lightningケーブル

LightningケーブルとUSB-Cケーブルの違いは何でしょうか? Lightningケーブルは、Appleにとってお金になるんです。
USB-Cケーブルはメーカーに関係なく使えますが、LightningケーブルはApple製品でしか使えません。
Apple以外の会社が標準の充電・データ転送ツールを採用していても、Appleだけは前からずっと独自のケーブルを使い続けてました。
ユーザーにとっては、ケーブルが統一されてたほうが楽だしお金もかかりません。でもAppleユーザーは、今もiPhoneのケーブルとMacBookのケーブル、両方持ち歩かなきゃいけないんです。
消費者団体も、AppleがUSB-Cを使わないことには十分な理由がないと言ってます。Appleに利益をもたらしていること以外には。
でも状況は変わりつつあるようです。EUでは2024年末までにすべてのスマホでのUSB-C採用を義務化していて、Appleも当然その対象です。
なのでiPhone 15では渋々USB-Cを採用するようですが、特殊なUSB-Cケーブルを買わないと、充電もデータ転送も遅くなると言われてます。転んでもただでは起きないAppleですね〜。
4. アプリのApple税

iPhoneにアプリを入れるときは、必ずApp Storeから入れなきゃいけません。App Storeのアプリが売れると、デベロッパーは売上の一定割合をAppleに上納する必要があります。
年間売上が100万ドル(約1億3000万円)以下のデベロッパーは15%、それ以外は30%、いわゆるApple税です。
その「税金」は結局、ユーザーに跳ね返ってきます。アプリやサブスクリプションがその分高くなるだけじゃなく、デベロッパーのWebサイトでサブスクリプションを登録したほうが安いのに、そのことの告知もアプリ上でできません。
Epic Gamesはこの扱いを不当としてAppleを提訴して、Spotifyなどの他の会社も含めて広く支持を集めました。
一番しょーもない例は、Netflixアプリかもしれません。Netflixアカウントを持ってない人は、iPhoneアプリから作る方法がないんです。
Netflixはサブスク料金に30%上乗せしたくないからアプリからアカウント登録できないようにしていて、でもそのことをアプリでは言っちゃいけないんです。
5. デフォルトの地図がAppleのマップ

最近AndroidからiPhoneに乗り換えたんですが、一番イライラしたのがマップでした。
僕はGoogleマップが好きで、長年使ってきたし、ブックマークも全部そこに入ってます。
でもiPhoneで誰かから住所が送られて来て、それをタップすると必ずAppleのマップで開かれます。設定変更はできません。
6. プライバシーのウソ

「iPhoneで起きたことは、iPhoneにとどまる」「プライバシー。これがiPhone。」Appleはそんなメッセージの広告を世界中にばらまいてきました。
でも実際それほどじゃないことがわかりました。2022年11月、Appleがユーザーのアプリ利用に関する詳細なリアルタイムデータを取得していることが発覚したんです。
それも、iPhoneのプライバシー設定でデータ収集をオフにしているときにです。米国ではこの件で少なくとも1ダース以上の訴訟が起きています。
でもAppleは、他のところでもプライバシー保護の約束を破っています。各アプリがトラッキングの許可を求めるApp Tracking Transparency設定では、いろんなトラッキング手法を回避しきれてないことがわかっています。
Appleはまた、App Storeでデベロッパーが記入する「プライバシー成分表」にウソが書かれていても放置しています。
7. 戻るボタンがない

これは最近までAndroidを使ってきた自分の、個人的な不満かもしれません。iPhoneユーザーは長年iPhoneを使ってる人が多いから気にならないんだと思いますが、iPhoneには「戻る」のボタンとかジェスチャーがないんです。
Webブラウザには「戻る」ボタンがありますが、旧Android使いとしては、スマホ全体でそれを使いたいんです。
たとえばGoogle Pixelだと、どんなアプリを使っていても、画面端から右スワイプで「戻る」ができます。「戻る」専用ボタンがあるAndroidスマホもあります。
iPhoneではアプリごとに戻り方が違ってて、中には戻る方法がないものさえあります。なぜなんでしょうか…?
8. AirPodsの互換性のなさ

AirPodsは史上もっともポピュラーなヘッドホンになりました。Androidでも一応使えますが、いろんな意味でカスタマイズができなくて、使い心地はよくありません。
iPhoneで使えばタップやスクイーズの操作をカスタマイズできるのに、Androidじゃできないんです。
AirPodsを着けた状態でのスマホ・コンピューターの間のシームレスな切り替えも、Androidではできません。流れるような連携は、AirPods・iPhone・Macの三種の神器をそろえた人限定なんです。
でももちろん同じことはGoogleもやってます。Pixel Budsも、iPhoneとのペアリングでは全然使えません。
スマートウォッチだとさらにひどくて、Apple WatchはiPhoneでしか使えないし、GoogleのPixel WatchはAndroidでしか使えません。
9. USBハブ

「ドングル」って何?って思ってた日々が懐かしく感じます。
MacBook AirのふたつしかないUSB-Cポートにはいろんなものをつながなきゃいけないので、僕はどこに行くにもUSBハブを一緒に持っていきます。
いろんなものがワイヤレスになれば快適だけど、まだそんな時代じゃないんです。HDMIポートのあるMacBook Proに買い替えることも考えましたが、そのために1,000ドル追加するのはためらっちゃいます。