自動の方向が違う。
自動運転車というと、普通は人間が寝ていても目的地に着くとか、そこまでいかなくてもハンドル操作の補助をしてくれるとか、ライトや速度を調整してくれるとか、そういうことが頭に浮かびます。
が、フォードの考える「自動」がまったく違う方向にも伸びていて、ちょっと笑ってしまいました。ローンの支払いが滞ったら、エアコンが自動で動かなくなるなんて、まるでコメディの世界です。
取り立て厳しすぎない?
米特許庁が、2月末、フォードが申請中のある特許書類を公開しました。申請されたのは1年半ほど前で、特許タイトルは「自動車差し押さえのシステム&方法」というもの。もし、自動車ローンの支払いが滞ってしまった場合、車のダッシュボードシステムに「遅れていますよ」という注意メッセージが表示されます。
それでも支払いがなければ、追加のメッセージ。それでも支払いがないと、遠隔操作でエアコンが停止。さらにスマートキー、GPS、音楽メディアシステムが次々と使用停止に。
最終的には、ドライバーが車に乗るたびに車載スピーカーから不快音を流し続けるという、かなりストレスのかかるペナルティが発動されます。
もし、ドライバーがかなり強メンタルの持ち主で、便利な機能全停止&不快音が鳴り響く車でも平気で乗って支払いを怠るようであれば、最終手段に進みます。車がロックされ、ドライバーは締め出されてしまいます。またはドライバーの日常運転から判断し、一定エリア内でしか運転できない、平日しか運転できない、緊急事態のみ運転できるなどの対応に。
ちなみに平日のみ運転可なのは、仕事に影響して支払い能力が低下してしまうのを避けるためだそう。そこんとこ結構現実的で、最優先はとにかく車の代金を適切に回収することなんですね。
フォードはいわゆる「自動運転車」のテクノロジーもこの流れに組み込んでおり、以上のペナルティでもダメなら、自動運転モード発動で、車自らディーラーに帰ってきてもらうことで車を回収するという特許も申請中。ドライバーが対抗(例えば車をガレージに閉じ込めて鍵かけちゃうとか)することも考慮し、その場合は自動で警察に通報するシステムも搭載。しっかり先手を打っています。
フォードの特許は想像を超えている
なんか笑っちゃうような自動車ですが、フォードの車に対する自動の斜め上アイデアは、実はこれだけではありません。2018年には、交通違反車をより効率的に取り締まるため、AIを使って自身をうまく隠す自動警察車両の特許、完全自動運転となる未来を見据えてフロントガラスが映画のスクリーンになる特許、車内広告ボードやバイク搭載可能車の特許も申請しています。
まぁ、あくまで特許ですからね、実現するかどうかはまた別のお話。米Gizmodoがフォードにメール取材したところ、担当者からも、実現するかどうか、これらの特許に関するビジネス計画があるかどうかに関わらず、新たな取り組みは特許申請しているというコメントがありました。ローン支払いペナルティの特許が実現に向かって開発されているかどうかについてはノーコメントでした。
見てみたい気もしますけどね。ドライバーが激怒する中、ディーラーへ飄々と帰っていく車の姿を。