ネットの接続状況=その国の自由さ、なのかもしれません。
2022年、35の国の政府が国民に対してインターネットを遮断する処置をとりました。ニューヨークを拠点とする監査団体Access Nowが、2022年の世界のインターネット遮断に関するレポートを公開しており、2022年は政府によるネット遮断回数が増えただけでなく、遮断時間も長くなったことが明らかになりました。
Access Nowは、2016年にネット遮断に関する「Keep It On」というプロジェクトを始動しました。
遮断回数トップはインド
昨年明らかになった世界のネット遮断回数は、35カ国で185回。その中で遮断回数84回の圧倒的トップとなったのはインドです。人道的危機的状況、大規模抗議運動、武力衝突、選挙期間中などに遮断が実施されていました。これで、インドは5年連続世界で最も厳しくインターネットへのアクセスが検問されている国ということになります。
紛争が起きた・起きている地域ではネット遮断が長期化。エチオピアのティグレ州は、2年以上ネットが遮断された状態が続いており、これはAccess Nowの調査開始以来最長です。一方、ミャンマーでも500日ネット遮断が続いており、エチオピアに迫る勢いとなっています。
Access Nowのレポートには「当局は長期にわたり同じ理由でネット遮断処置をとっており、うんざりすることにそれを正当化させようとしているのも同じ」「長い間、遮断という力を振りかざして人々を黙らせ、時に特定団体に対して停電、携帯電話の電波遮断、プラットフォームブロックを行っている」と綴っています。
事実隠蔽のためのネット遮断も横行
また、政府が人々に圧力をかけ特定情報を遮断するためだけでなく、国や軍隊による犯罪や人権侵害行為を隠蔽するためにもネット遮断が利用されていると、レポートでAccess Nowは厳しく批判しています。
例えば、ロシアではウクライナ侵攻に関連してネット遮断が22回、イランでは警察による過度な暴行で亡くなったマフサ・アミニさんへの抗議運動の最中にネット遮断が行われました。
圧力としてのネット遮断が急増している一方で、国連の協力によって世界的にネット遮断への対抗策は高まっているとAccess Nowはいいます。「世界的な選挙関連の遮断に対しての動員はうまくできている」とし、ケニアの選挙期間やエチオピアの2年にわたるネット遮断への対策は、国連人権高等弁務官の協力によって進展しているとレポートで報告されています。
昨年、国連もAccess Nowのレポートと類似した調査で同等の結果をだしており、「ネット遮断は人も経済も苦しむことになる。雇用、教育、福祉、政治などにおいてバーチャルで得られる利益はコストを上回っている」と、ネットの有益性を説いていました。
ネットは日々の社会活動を担う現代のインフラであり権利なのです。
Source: Access Now