これは体が喜ぶ椅子だ。
オフィス用品や学習机、チェアなどを手掛けてきた株式会社イトーキが、ゲーミング向けの新レーベル「Daidara(ダイダラ)」を設立しました。同時に、レーベルの製品第一弾として、かなりガチ目のゲーミングチェアを発表。

こちらが今回新発表となる「Act Gaming(アクト ゲーミング)」。イトーキが2018年11月に発売したオフィスチェア「Actチェア」をベースにしつつ、様々な改良がなされた意欲作です。
日本を代表する妖怪の名を冠したブランド
創立から約130年の歴史を持つイトーキ。湊宏司社長いわく「人間との接地面が多いイスは、まさにテクノロジーの塊」とのことで、オフィスチェアには並々ならぬ意欲を持っています。よく言いますよね、イスと布団は良いものを買えと。

ちなみに、レーベル名のDaidaraは日本の大妖怪「ダイダラボッチ」から来ています。ロゴもすんごい和風ですけど、これは江戸時代に梓行された「怪談百鬼図会」が元となってる模様。Wikipediaに挿絵がありますが、なんて渋いチョイス…。
背もたれグニグニで色んな姿勢がとれる

改めて「Act Gaming」を見ていきましょう。なお、価格は税込み14万9000円とゲーミングチェアとしてはトップクラス級です。レーベル第一弾製品でこの価格帯は、イトーキの本気が伺えますね。

背面は「Actチェア」と似たサイドフレームレスデザイン。後述しますが、肘掛けの可動域や座面の調節機構など、「Actチェア」から受け継いだ機能がいくつかあります。

特徴を見ていくと、まずはこの背面。通気性の良い穴開き構造で…。

横から見るとこんなに薄い。そのおかげでTOP画像のGIF動画のように、背中で押すとグニグニと動いてくれるんです。素材には頑丈でしなやかなエラストマーを採用。

背面を支えるフレームは「Actチェア」と同じピボット構造になっていて、これのおかげで背もたれが可動する仕組み。個人的な意見ですけど、ハイバックの椅子って上半身がラクになる反面、壁に押し付けられるような窮屈さも感じるんですよねぇ。でも、これだけ背もたれが動くと色んな姿勢がとれてラクに感じました。

ヘッドレストは横に大きく、背面全体をカバーします。首を横に向けてうたた寝するにもヨシ。
座り方を変えることなく、お尻の負荷を調整する

座面にはクッションを採用。実はこの「Act Gaming」、2022年の東京ゲームショウに参考出展していたのですが、その際はレザー生地を採用していたそうな。「レザーだと蒸れる」というユーザーの意見を取り入れて、ファブリックに変えたんですって。

この座面にも面白い仕掛けがあります。太ももの下部分がスライドできるようになっていて…。

こんな風に、座面を動かすことなく太ももやお尻にかかる負荷を調整できます。イトーキの人に「なんで座面全体を動かさないんですか?」と尋ねると、そもそも椅子はベストポジションが決まっているそうで、座面を動かすとベスポジからズレてしまうそうな。座面を動かさずにお尻周りの負荷を調整する方法がこのスライドなわけですね〜。

こちらは座面のファブリックを取り外した骨組みのパーツ。多数の肉抜き穴を設けることで通気性も確保しています。お尻ってかなり蒸れるから、コレはありがたい。
実際の座り心地ですが、腰掛けてすぐに「あ、ラク…」って気持ちになりました。座面がわりと沈み込んでくれて、同時に背中もほどよく沈み込むので、点ではなく面で体を支えてくれている感じです。特に背もたれのグニグニ感は一般的な椅子では味わえない感覚ですね。見た目はキワモノだけど、意外と理に適ってるなぁ。
コントローラーをダラっと持ちたい人にも安心

最後の面白い仕掛けは、肘掛け。一般的なオフィスチェアは高さや前後感、左右の開きなどが調整できますが…。

このように、ぐるぐると立体的に可動する「4Dリンクアーム」を採用。肘掛け下のスライドを押すだけで、あらゆる位置に肘掛けを持ってこれます。スムーズな位置変更ができますね。
ゲームをしているとコントローラーを低めの位置(太もも上あたり)で構えたい時があるんですけど、僕はクッションを膝において対応していました。でも、この肘掛けなら高さを下げて内側に寄せれば、肩が上がること無く自然な低さでコントローラーが保持できそうでした。
椅子は、生産性のためにあらゆる角度から研究されたガジェット

オフィスもゲームも、高いパフォーマンスを求められるという意味では同じ。高いパフォーマンスを発揮するためには、快適さが重要なのも同じ。こうなると、イトーキの知見はゲーミング市場にも十分に通用しそうじゃないですか?
最初は「Act Gaming」の値段を見てびっくりしましたが、座ってみると価格にも納得できましたね。ゲームだけでなくテレワーク的な作業にも間違いなく有用ですし、今のオフィスチェアを使い古したらこういうの買おうかなぁ。
「Act Gaming」は、東京タワー内のeSportsパーク「RED° TOKYO TOWER」や、一部のヤマダ電機にて展示されています。実際に座れば、イトーキのチェア哲学を体験できるはずですよ。
Photo: ヤマダユウス型
Source: Daidara
2023年3月6日 訂正:レーベル名の表記に一部誤りがありました。謹んで訂正いたします。