ハッブル宇宙望遠鏡による超新星「SN 2018gv」からの光のタイムラプス 。
NASAは先日、イスラエル初となる宇宙望遠鏡の打ち上げを担当すると発表しました。2026年に静止軌道への投入が予定されているUltraviolet Transient Astronomy Satellite (紫外線過渡天文衛星、以下ULTRASAT)は、超新星爆発や中性子星の合体といった短時間での天文現象を詳しく調べるミッションです。
この望遠鏡は広い視野で宇宙の広域を観察して、突発天体現象を見つけるというもの。望遠鏡の観測は紫外線の波長で行なわれますが、重力波を観測するLIGO科学コラボレーションなどからのデータとも組み合わせることもできるとか。
科学者たちは異なる観測手段からの観測結果を結び付けることで、超新星爆発や中性子星同士の合体といった宇宙で最も激しい事象についての新たな知見を集められるようになります。
宇宙観測の新時代
NASAの宇宙物理学局長Mark Clampin氏は、リリースの中でコメントを寄せています。
「高エネルギートランジェント天体の謎を、よりよく理解する一助となる国際的な取り組みであるこのパートナーシップに参加できて光栄です。ULTRASATは世界の科学コミュニティに、時間領域とマルチメッセンジャー天体物理プログラムというまだ初期段階にある分野で、新たな観測を行なうさらなる重要な能力を提供します」
NASAとイスラエル宇宙局との取り決めでは、NASAが米フロリダ州のケネディ宇宙センターでULTRASATの打ち上げの機会を提供することになっています。
イスラエル科学技術省のイスラエル宇宙局Uri Oron局長は前述のリリースで、「ULTRASATの必須要件は広視野で高性能な紫外線の感度、リアルタイムのデータコントロールと伝送など、技術的な発展の最前線にあるものです」と発言していました。
ULTRASATをはじめ、今後10年のうちに宇宙観測の概念を変えるような天文台の運用が続々と始まります。NASAのナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡は2020年代半ばの打ち上げ予定ですし、LSSTカメラはこれまでよりも詳細かつ広い範囲での宇宙の観測に役立つでしょう。
それらの活躍を待っている間にも、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は近い惑星から最遠の銀河まで、宇宙に存在する新旧の構造の撮影を続けていきます。