スペースデブリを何とかしろ! 科学者たちが宇宙の危機を訴える

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スペースデブリを何とかしろ! 科学者たちが宇宙の危機を訴える
Image: NASA ODPO

ゴミは片付けないとですよね。

スペースデブリ。先日、ついに最終回を迎えたドラマ『ブラッシュアップライフ』でストーリーの鍵となったやつです。スペースデブリさえなかったら、登場人物たちはあんなに苦労することなかったのに…。Huluで全話観れるので、まだの方は是非今からでもどうぞ。

スペースデブリへの危機感

スペースデブリとは、地球の衛星軌道上を漂っている使用済み衛星やロケットなどの不用品のこと。つまりゴミNASAによると、そんなスペースデブリの移動速度は最大時速2万8160km、地球の周りを90分ごとにぐるぐると回っています。

科学者たちは今、将来的にスペースデブリが問題になると(ブラッシュアップライフではもうすでに問題発生しちゃってたけど)、危機感を訴えています

Scienceは、科学者複数名による『地球の軌道を守れ:海洋での過ちを繰り返すな』という寄稿文を掲載。これによれば現在、地球の軌道には9,000個もの人工衛星があり、2030年にはこれが6万個まで増えると予想。これらすべてが将来、スペースデブリとなる可能性があるんです。

近年、宇宙産業が盛り上がりを見せていますが、それと同時に宇宙の安全も考慮しなければいけません。科学者たちは、サステナブルな地球軌道のためには、宇宙での世界的条約が必要だと意見しています。

寄稿文の著者の1人Melissa Quinn氏は、プレスリリースにてこう語っています。

人工衛星は、人々の健康や経済、安全性、地球そのもののために必要不可欠なものです。その利点を人が享受する一方で、リスクもあります。私たちが海をどう扱ってきたかを考えれば、未来の世代のため、宇宙にダメージを与える前に対策ができるはずです。人類は宇宙での行動に、後からではなく、今責任を持たなければいけません。世界のリーダーたちは、これを心にとめておいてください。世界が協力して責任を持つため、次なる大きな一歩を認識する必要があるんです。

GPSも衛星通信もできなくなる可能性

2022年12月の欧州宇宙機関(ESA)によれば現在、地球軌道上には3万2300個のスペースデブリが存在しています。しかし、これはあくまでもトラッキングが可能だったもののみ。ESAの統計モデルによれば、1mmから10cmほどの大きさのスペースデブリは1億3200万個にもなるといいます。

1978年、NASAの科学者ドナルド・J・ケスラー氏が提唱したケスラーシンドロームが、このままだと実際に起きてしまう可能性が…。衛星やスペースデブリが増えまくった地球上空では、GPSも衛星通信もできなくなってしまうかもしれないという話です。

世界が団結しての条約や団体結成の必要性はもちろんですが、それぞれでの取り組みはすでに始まっています。

昨年、NASAは宇宙のサステナビリティのため、地球軌道のデブリに関する調査など3つの関連プロジェクトを発表。ESAは、軌道上のデブリをキャッチして地球の大気圏で燃焼させるプロジェクトを承認しています。

今後、さらなるスペースデブリ対策や、衛星のあり方など、世界的な取り組みが進むことを望みます。