新型「Sonos Era 300」を西海岸で体感。空間オーディオがえら(Era)いこっちゃ!

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  • author 尾田和実
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新型「Sonos Era 300」を西海岸で体感。空間オーディオがえら(Era)いこっちゃ!

マジでこれは魔法といえるレベル。

カリフォルニア州サンタ・バーバラに本社を構えるSonosが、新たに挑む空間オーディオ(Spatial audio)の世界。世界中のクリエイターを巻き込んだティーザーを経て登場した新製品「Sonos Era 300」のサウンドは驚き以外の何ものでもありませんでした。

左、中央、右、そしてハイトチャンネル専用のパワフルな6つのスピーカーを信じられないほどのコンパクトサイズに搭載。Dolby Atmosがもたらす360°あらゆる方向から迫ってくる“音のメタバース”感、思わずニヤニヤしてしまうような繊細で芳醇な音質。

SonosEra300-Front-White

表現として適切かはわからないのですが、すごくよくできた美味しいカリフォルニア・ワインが最新のパッケージングで届きました、みたいな説得力がありました。 砂時計のように優雅でくびれたデザインにWifi6対応および、別売りのアダプターによってライン入力も可能なUSB Type-C装備など、これまでかというぐらいアップデートしたモダンな装備を積んでます。こりゃあ欲しい!!

SonosEra300-Back-White-1

さらに静電容量式ボリュームスライダー、専用のスキップおよびリプレイ コントロール、背面のマイクオン/オフ・スイッチ。

SonosEra300-TouchControls

デバイスをペアリングするためのBluetoothボタンなど、より直感的なユーザー インターフェイスも備えて使い易くなっています。

SonosEraFamily-White
Era 300(69,800円 税込)と Era 100(39,800円 税込)は、2023年3月28日に全世界で販売開始予定。日本では、ヨドバシカメラとビックカメラの実店舗およびオンライン店舗、Amazon.comにて3月8日から順次先行予約の受付を開始、3月29日から全店舗にて販売開始予定。

新ファミリーとなるEraシリーズは、Sonosの臨場感あふれるサウンド体験をより新たなレベルに押し上げることに成功しました。Sonosにとっても新しい時代の到来、という意味も込め、「Era(時代)」というネーミングを採用したとのことです。さらにSonosのお家芸である部屋の音響特性を測定し、最適な補正を行う「Trueplay™」機能もiOSに加えてAndroid端末でもスピーカーのマイクを使うことで利用できるようになっています(iPhone本体のマイクを使う高精度な補正「アドバンスドチューニング」は引き続きiOS端末でのみ使用可能)。

先進の空間オーディオに対応したEra 300と、前世代モデルであるSonos Oneよりも少し大きくなって再登場したEra 100

本日発表、3月29日日本発売の2モデルはSonosの新しい設計基準に基づいて作られた初めてのスピーカーです。

sonos_event

今回、Sonosさんのご招待でこの最新モデルの発表&視聴会をいち早く体験できました。その全貌をギズモード編集長の尾田和実がカリフォルニア現地からお届けします!

プロの音楽家から絶賛されるSonos

サンタ・バーバラのSonos本社に入った時にまず「おおおっ」ってなったのは、伝説の音楽プロデューサー、リック・ルービンがマインドフルネスしてるでっかいポートレイト。

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Photo: Kazumi Oda

ヒップホップを世に知らしめたといっても過言ではないレーベル“Def Jam”の創始者であり、今や世界一のロックバンドとなったレッド・ホット・チリ・ペッパーズに欠かせない音楽プロデューサー。“なぜここに音楽界の至宝、リックが?”とRhizomatiksの真鍋大度さんとあれこれ論じてしまったのですが、あとで親切にも彼がこの動画を見つけてくれました。

Video: Johnny Green - YouTube

Sonosをとても気に入っていて、自宅にもセットアップしている経緯からCMに出演していたんです。リックに限らず、常にトップ・ミュージシャンやプロデューサーたちとリレーションをとりながら製品開発をしているのがSonosのこだわり。

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Photo: Kazumi Oda
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急に真鍋大度さんの名前が出てきたことにびっくりした方もいるかもしれません。実は「Sonos Era」 の記者発表を記念して行われたクリエイターのトークセッションに参加するための本社訪問でした。

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Photo: Kazumi Oda

参加者のひとり、数多くの伝説的名作をリイシューし、グラミー賞も受賞しているジャイルズ・マーティンビートルズの名プロデューサー、ジョージ・マーティンを父に持ち、Sonosのサウンド・エクスペリエンス部門の責任者を務める)も、「新製品の空間オーディオには、タイムマシーンにのって、歴史的なレコーディングの現場に立ちあうみたいなインパクトがあるよね」と手放しで賞賛するなど、そのあまりに豪華で伝説的な参加メンバーの興奮ぶりに驚いていました。

しかし、そこは、いち早くOpenAIなど先端的なプログラミングスキルを駆使して坂本龍一さんやPerfume、さらに最近ではフィギュアスケーター羽生結弦さんの東京ドーム公演などで音と映像のインスタレーションを制作してきた実績を持つ真鍋さん。

ドローンやダンサーの指先にマイクをつけて、これまでになかった空間オーディオによる音場を作ってみたい」と語り、他のメンバーとはまた違ったメディアアート目線の提案で、ステージ上のサウンド・エキスパートや、世界中のプレスが集まった客席の心を鷲掴みにしていました。

同じ日本人、そしてかねてからギズで追っかけてきたフォロワー〜知人として誇らしかったことは言うまでもありません(笑)。

Sonos本社で敢行した真鍋さんのギズモード独占インタビューは、また別記事であらためて紹介します。

環境へ配慮するSonos

Sonosの筐体デザインやパッケージングの特徴のひとつに「どこまでもクリーンでスマート」なイメージがあります。しかし、これは外見だけではなく、サスティナブルなパーツや包装、コーポレート・アイデンティティを視覚的に表したものだということが今回の本社訪問でわかりました。

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Photo: Kazumi Oda
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Photo: Kazumi Oda

生産工程で有害な物質が発生してしまう環境負担をいかに抑えるか。

そのために再生利用されたリサイクルプラスチック(PCR)を採用。さらに接着剤などの化学物質の使用を控えるためにネジ止めを多用していく構造になっています。一見、接着剤よりもネジ留めの方がクラシックに感じる人もいるかもしれません。しかし実はネジの方がアフターケア、つまり分解や修理も容易だというサステイナブルな考え方に基づいているのです。

驚いたのは、そのネジがSonosのために考案された独自規格になっている点。実はネジ1本1本にきっちりオリジナルであることを示す“Sonos”ロゴが入っているのです。そしてネジの材質や形状は音質にも影響します。ネジ1本にも徹底して拘ることで、音質的にも環境的にもより良いプロダクトを設計しているのです。


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Photo: Kazumi Oda


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Photo: Kazumi OdaPhoto: Kazumi Oda


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Photo: Kazumi Oda


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Photo: Kazumi Oda


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Photo: Kazumi Oda


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Photo: Kazumi Oda


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Photo: Kazumi Oda


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Photo: Kazumi Oda


Sonosの開発者は職人的?

上記の話を聞いたあたりから、「あれ!? Sonosって西海岸のテックカンパニーのひとつで、ネットワーク・スピーカーの先駆者だと思ってたけど...単に最先端のテクノロジー!みたいなイメージとはちょっと違うのかも」と感じるようになりました。

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Photo: Kazumi Oda

ハードウェア部門の開発およびオペレーション責任者(Senior Vice President, Hardware Development and Operations)であるMaxime Bouvat-Merlinさんは、こうした僕の疑問についてこのように語っています。

「たしかに君の言うようにSonosのチームは、あらゆる分野のエキスパート、職人の集まりだよね。サウンドのチームはなるべく大きく、良い音を出したいと考えるし、部品調達のチームはなるべくコストを抑えた、安全性の高い部品が必要だと主張する。それぞれのこだわりを私たちのポリシーである、“ユーザーにとってより良い音楽環境を届ける”というミッションに基づいて調整していく。しかしそれってかなり難しいことなんだよ。みんなの要望に応えつつ、リサイクル素材など手に入りにくい原材料の調達から製造ラインの設計まで、プロダクトに関わる全ての部分を調整していくのが私の仕事だからね」

そう話すMaxさんも職人だった(笑)。取材したスタッフが口を揃えて言うのは、「Help the world listen better(音楽環境をよくする)」というSonosのタグライン。非常にシンプルで、過度にエモーショナルにならないこの言葉には、浮かれたりすることなく、真摯に僕たちの質問に応えるSonosスタッフに共通したトーンであるように思われました。

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SonosのCEO、Patrick Spenceさん
Photo: Kazumi Oda

このフレーズは「Era 300」「Era 100」という画期的な新製品を発表したCEOのPatrick Spenceが一番強調していたポイントであり、Wifi接続やTrueplay™技術で世界中のホームサウンド・システムをスマートなものにしてきた Sonosのプロダクト哲学に感じます。

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Photo: Kazumi OdaPhoto: Kazumi Oda


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Photo: Kazumi Oda


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Photo: Kazumi Oda


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Photo: Kazumi Oda


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Photo: Kazumi Oda


眼差しの先にある豊かな音楽環境

Sonosのオフィスは、カリフォルニアの海岸沿いにあり、風光明媚、高級リゾート地としても有名なサンタ・バーバラに、ヘッドオフィス、ラボ、ミーティングスペースなど機能を分けて点在しています。

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Photo: Kazumi Oda


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Photo: Kazumi Oda


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Photo: Kazumi Oda


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Photo: Kazumi Oda


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Photo: Kazumi Oda


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Photo: Kazumi Oda


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Photo: Kazumi Oda


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Photo: Kazumi Oda


僕自身は、先日逝去された巨匠、バート・バカラックが若き日に音楽アカデミーで学んでいたり、ソニック・ユースやビースティ・ボーイズのジャケット・デザインを手がけ、映画監督として『サムサッカー』『カモン カモン』などの傑作長編を手がけたマイク・ミルズの出身地だったり、個人的にも大好きなクリエイターたちのゆかりの地として認識していました。

実際に、サンタ・バーバラのスペイン的なクラシックさとハイテクさを同居させた街並みを眺めていると、Sonosのサスティナブルな設計思想や、過度なインパクトに走らず、ひたすら心地よさを重視したサウンド・デザインなど、カリフォルニアのスローなライフスタイルが与えた影響がとても大きいように感じました。

でもテックに対するこだわりは鬼かも!

しかしながら、あえて一般の家庭のリビングを模したリスニングルームで体験した「Era 300」を背後にペアで設置し、前方にサウンドバーの「Sonos Arc」をセットしたハイパーリアリスティックな 7.1.4 サウンド体験はこれまでに感じたことのないような驚きがありました。

日本の住環境と比較しても、それほど広いってわけではないし、天井がコンクリートだったりして反響が大きい環境でも、目を閉じればシアターサイズで映画を見ているようなスケール感や細かな定位感が感じとれます。

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Image: Sonos

Sonosは、Wifiストリーミングと優れたアプリ連携を活用することで、一度にサラウンド環境をまとめ買いしなくても、1個ずつ製品を追加していきながら簡単にペアリングして、Dolby Atmos7.1.4chサラウンドまで環境を構築できるところがスマートです*。

*「Era 300」のペアと「Arc」および「Sub」により7.1.4chを実現。アップファイアリングドライバーにより、フロントのハイトチャンネルを生み出します 。「Arc」を「Beam(Gen2)」に置き換えると、バーチャル化されたハイトチャンネルで7.1.4chを実現可能 。

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Photo: Kazumi Oda

何より、一度知ってしまうとその便利さと音の良さの虜になってしまうWifiストリーミングとペアリングの技術。そして世界中のどんな住環境でもマイクを通してのフィードバックでそれぞれの部屋に最適なチューニングを施してしまうTrueplay™(SonosのアプリではQuick Tuning機能と呼ばれます。Androidでも利用できるようになり、スマホのマイクでEQを調整できます)機能は、先駆者としてのプライドとアドバンテージがあります。

アプリ連携が前提であることのメリットをフルに活かして、常にユーザーにベストで快適なミュージックライフを届けるSonosの思想は、テックと音楽を融合させてきたトップランナーとしての矜持を感じずにはいられませんでした。

souce: Sonos