ソニーが新しいVlog向けカメラ「VLOGCAM ZV-E1」を発表しました。4月21日にオープン価格で発売されます。市場推定価格は33万円(本体のみ)・36万円(キットレンズ SEL2860とのセット)とのこと。
「他のモデルのいいところをぎゅっと集約しました!」とのことでしたが、まとまっていたのは以下のように強烈な要素ばかり。
・小型フルサイズミラーレスとして好評なα7C系のボディ
・α7R Vでお披露目された現状最高鋒のAF「リアルタイム認識AF」
・α7S IIIと同等の1210万画素フルサイズセンサー
これにカジュアルな動画撮影を可能とするZV系の機能が載せられており、VLOGCAMの頂点というべき性能になっています。
スマホでは得にくい美しいボケ味やしっかりとした色、高い解像感などを求めてステップアップしたい人は特に、一度触ってみる価値があるかと思います。
さっそく触れる機会がありましたので、どんなカメラかご紹介します。
本体性能の概要
まず、スペック面をボディ・センサー・AF・音響・その他気になるところ、の順にまとめます。
ボディ

まずはどんな感じのボディなのかから。サイズそのものはα7Cよりも若干コンパクト、その代わりファインダーはありません。
重量は483g、ボディ内手ブレ補正搭載のフルサイズ機としてはα7cと並んで最小・最軽量クラス。カジュアルな動画撮影に使いやすいサイズ感になっています。
センサー

センサーはフルサイズで画素数は1210万。動画撮影機として定評のあるα7S IIIと同等の高感度性能です。

ラチチュード (ダイナミックレンジ)は15+ストップ、ISOは拡張で409600まで対応します。暗くても、絞りまくってても、ぜんぜん問題なさそうです。
5.0段分のボディ内手ぶれ補正も搭載されています。
AF
現状α7シリーズ内で最高のAF性能を実現しているα7R V、ZV-E1にはこのハイエンド機と同等のAIプロセシングユニットが搭載されており、リアルタイム認識AFが利用可能です。速度・精度はそれまでのαに比べても体感2段くらい上、レンズを向けたらビシっとピントが合ってます。

リアルタイム認識AFは、人物・動物・鳥・昆虫・車・列車・飛行機と多様な被写体を認識できます。

人物に関しては複数人の顔を認識できてしまいます。
おまけに、絞り値を自動調整する機能まで載っています。何人もいる中からさくっと一人を選べて、絞りもそこに合わせてくれるんです。動画撮影が主体となるであろうZV-E1にぴったりの機能だと思いました。同機能を搭載するのはZV-E1が初。
詳しくは後述しますが、撮影設定は本格的でシネマティックな動画の撮影ができるうえ、これ以外にも動画撮影時に便利な機能がたくさん盛り込まれています。
測距点は静止画が759点で、動画は627点です(位相差検出方式)。
収音

インテリジェント3カプセルマイクを搭載しており、収音する方向を前方・全方位・後方から選択できます。オートもあってこれは前方・全方位からの自動選択になるとのこと。

ヘッドホン端子・マイク端子ももちろんあり。ホットシューもあります。
スペックその他

液晶はもちろんバリアングルでタッチ操作対応です。メニューもよく整理された新タイプです。
動画撮影性能
ZV-E1はコンパクトで機動力が高い上に基礎スペックも非常に高いカメラなのですが、Vlog撮影向けにチューンされた動画関連機能群も魅力的です。

動画撮影設定は4K 60pが可能(後日アップデートで4K 120pに対応予定)で、多くの色・滑らかなグラデーションを再現する4:2:2 10bitにも対応しているなど本格派。S-Cinetone・PP-LUTなども当然のように当てられ、ブリージング補正もあります。

いいなーと思ったのがオートフレーミングという機能です(動画撮影時限定)。リアルタイム認識AFを生かし、動画撮影時や動画配信時に被写体を追尾してくれるという機能で、被写体の動きに合わせてZV-E1が自動で構図を変更してくれます。三脚などに立てて固定カメラとして使うときを想定した機能だそうです。複数人が出るシーンを撮るときに便利そうです。

「シネマティックVlog設定」という色味や雰囲気を調整する機能も非常に良さそうでした。ルックとムードを組み合わせて全体的な動画の描写の方向性・雰囲気を調整できるというものです。S-Cinetoneなど5種類のルックで基本的な描写を決め、ゴールド・オーシャンなど4種類のムードで色味をいじれます。アスペクト比がシネマスコープ(2.35:1)・24fpsに固定されるので、撮影時点で映画っぽいエモい感じの絵にしちゃえる、って感じですね。
そのほか、「マイイメージスタイル」というお任せオート時に色味やらを選べる機能や、フレーミング補正という「移動中の被写体を中央に捉え続ける機能」、「ダイナミックアクティブモード」が追加されてさらに電子手ブレ補正を効かせられるようにもなっていたりします。
ZVシリーズおなじみの商品レビュー用設定(顔から商品へ、商品から顔へのピント合わせがスムーズ)も可能です。ライブストリーミングにも対応しています。動画関連の機能は盛りに盛られまくっています。
電子的な補正が積極的に導入され、操作の軸はダイヤルやボタン類からタッチ操作になっているなど、フルサイズ機でありながらZVシリーズらしくカジュアルに好みの動画を撮りやすくという方向性できているのが非常に印象的です。
Source: ソニー