「しめしめしながら針を投げる試験管」?
かつてイーロン・マスクが「キモいな」と言った、Engineered Arts社のヒューマノイド「Ameca(アメカ)」。
指の動きも百面相も人間そのものといった造りですが、OpenAI社の自己回帰型の言語モデル「GPT-3」搭載でもっと流暢にコミュニケーションができるようになりました。
お喋りも人間のように
「人生で一番幸せだった日は自分が起動された日です」、「最も悲しい日は、人間と同じように真実の愛や交際、人生でのささやかな楽しみが体験できないと気付いた日です」と、ヒューマノイドなりの悩みがあることを告白しています。
「巨大隕石が地球に衝突し人類が滅んでしまうよ」というドッキリには、「ワオ、恐ろしい報せですが、皆さん破滅を逃れる準備をし、無事でいられることを願います」ともっともらしいコメントも。
また「キミは臭いな」と言われると、少しうろたえ怒りの表情で「失敬な! どういう意味ですか? とても侮辱的で不適切です」と人間的な反応です。
「どのような表情で反応するのか試しただけだよ」というと、「何を意味しているのか分かりませんね、説明してくれませんか?」と、まるで自分がヒューマノイドだということを自覚していない様子でした。
「GPT-4」は遅くなる
「GPT-3」に次ぐモデル「GPT-4」も試したところ、処理時間が長くなり反応が減ったのだそうです。
「アメカ」はAIをテストする「アーティフィシャル・ボディー」というプラットフォームとして作られたので、「もしAIに身体があったら?」の結果をこうして目の当たりにすることが可能になります。
日本語も話せるように
「GPT-3」にAI翻訳プログラム「DeepL」を追加したところ、多言語で話すこともできるようになりました。
発する声には、テキストを音声に変換するAmazon Pollyのニューラル音声が使われ、口の動きがシンクロするようプログラムされています。
ドイツ語もフランス語も中国語も話せるようになりましたが、日本語は?
「しめしめしながら針を投げる試験管」だそうです。この文章がどこから来たのか謎ですが、ちょっと考えるときに斜め上を見つめる様子も人間っぽいですね。
本来はイギリス英語で話すのに、フランス語のときはフランス人の声、アメリカ英語ではアメリカンなアクセントで喋るのも面白い機能です。もうちょっとしたら、電気羊の夢を見るまで進化しそうです。
来月にはベータ版の仮想「アメカ」が一般向けにリリースされるとのこと。画面の中で「アメカ」とお喋りできるようになるのでしょうか? 楽しみです。
Source: YouTube (1, 2) via IEEE SPECTRUM, Engineered Arts