21世紀の産業革命。
AIの安全性やその影響について注目が集まるなか、G7広島サミットでもAIに関わる懸念について議論が交わされ、進化するテクノロジーを監視するための「ガードレール」を設置すべきだという見解が示されました。
各国のリーダーシップが問われる
サミットではウクライナ戦争や対中関係、クリーンエネルギーなど多くのテーマが挙げられるなか、アメリカのバイデン政権で国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めるジェイク・サリバン氏の要請で、今回初めてAIが議題にあがりました。
G7サミットにはイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、アメリカ、カナダ、そして日本の首脳陣が出席。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長とイギリスのリシ・スナク首相は、AI規制の改善に向けた動きを国がリードしていくと述べ、国としてこの問題に取り組む姿勢を強調しました。
スナク首相は「AIは社会に利益をもたらす可能性がある一方、ガードレールを設置して安全に導入することが重要」とも話しています。
スナク首相はガーディアン紙に「イギリスは、特にオンライン安全法案での技術的規制に関して、リーダーシップを発揮して人々をまとめてきた実績があると思います。そしてこの場合も企業が我々と協力し、AIに関してはこれまで同様、今後も政府がガードレール構築していくと期待しています」と語りました。
これはAIによる負の影響について専門家が警告するなかで交わされた会話で、話題の中心となったのはChatGPTでした。なかでも専門家は、AIが医療や健康分野に関与することを懸念しています。
イギリスやアメリカ、オーストラリア、コスタリカ、そしてマレーシアの専門家はBMJ Global Health誌において、「AIのエラーが患者に害を及ぼす恐れ、データのプライバシーとセキュリティの問題、社会および健康上の不平等が悪化するようなAIの使用法」などについて言及しているとガーディアン紙は報じています。
スナク首相は以前からAI開発を支持しており、経済成長や公共サービスの変革に貢献する可能性があると発言したこともあります。しかし、G7サミットではより慎重な姿勢を見せており、各国リーダーには規制措置に焦点を当てる必要がある、と助言しています。
欧州連合のフォン・デル・ライエン委員長はサミット冒頭の挨拶で、「人工知能が市民や経済にもたらす潜在的なメリットは大きい」としながらも、「同時にEUでAIを発展させるには、民主主義の価値観を反映したガードレールに合意する必要がある」と警告しています。
ライエン氏はフィナンシャル・タイムズ紙に対し、「我々はAIシステムが正確で信頼性が高く、安全で、その起源に関係なく無差別であることを望んでいる」と述べています。