アメリカ心理学会「子どもがコレしたらソーシャルメディア利用を見直そう」

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アメリカ心理学会「子どもがコレしたらソーシャルメディア利用を見直そう」
Image: shutterstock

保護者のスクリーニングは必要です、が。

アメリカ心理学会(APA)が、初めて、ソーシャルメディアに関する子どもについての健康アドバイスとしてレポートを公開しました。

レポートでは、ソーシャルメディアを否定こそしないまでも、潜在的に有害である可能性を指摘し、それを避けるために保護者や政府に対して10の提言を行っています。

子どもが嘘をついたら要注意

まず、保護者ができることとして、子どもの「問題あるソーシャルメディア使用」をしっかりと認識すること。

問題あるソーシャルメディア使用として、「ソーシャルメディアをやめたいのにやめられない」「嘘をついたり人を騙してまでネット使用を続ける」が例として挙げられています。

また、保護者によるモニタリングは10歳から14歳で推奨。

子どものプライバシーは尊重されなければいけない

APAの提言は、ソーシャルメディアのアルゴリズムや技術的な問題ではなく、子どもと技術の関係に注視するものが主。

スクリーンタイムの制限も提言の1つにありますが、それは本質的かつ直接的にソーシャルメディアがメンタルヘルスに有害であるからでなく、思春期の子どもの脳の発達に関係すると言われる睡眠時間が影響するからだとしています。

また、子どもの心に悪影響となるため、他者と自分を過剰に比較する、違法なコンテンツを見る、心理的に不適切な行為を見ることを避けるためにも、ソーシャルメディア上で過ごす時間を制限、減らすのが好ましいとされています。

当然ですが、自殺、自傷、摂食障害などのトピックも子どもの目にふれないように保護者がモニタリングすべき。

ここらへんは、言われなくても保護者なら当然の話なのですが、難しいのはそれを子のプライバシーを尊重しながら行なうということ。

APAは、子どものプライベートは尊重されるべきであり、モニタリングとプライバシーのバランスが大切だと発言。ひとつひとつは理解できても、総合して実践するのは容易ではないかもしれません。

APAはソーシャルメディアに批判的ではない

APAとしては、ソーシャルメディアは「若者にとって本質的に有益でも有害でもない」という立ち位置をとっており、その影響は個人的かつ心理的特性における、個のユーザーの使い方しだいで大きく変わるとしています。

たとえば、ボディイメージや鬱の問題を抱える若者は、ソーシャルメディアからネガティブな影響を受けやすいかもしれません。

また一方では、心に問題を抱える若者や、社会からの疎外感を持つ人々は、自分と似た問題をもつ人にソーシャルメディアを通じて出会い、相談やアドバイスをうけ、心理的なサポートをうけられるかもしれません。

テック企業が子どものメンタルヘルスに与える影響について、何かしらの対策を講じるよう政府に強く求める人がいる一方で、若者のソーシャルメディア利用と健康への悪影響を直接的に結びつける研究はあまりないとAPAは指摘。

それよりも、子どものネット体験は、誰をフォローするか、いいね! するかや、育った環境や社会的背景からの影響の方が大きいといいます。

子どものソーシャルメディア制限を求め高まる声

社会学研究者や活動家は、ソーシャルメディアが子どものメンタルに与える影響について長年議論してきましたが、最近ようやく基本的な合意点がでてきて、行動(対策)に乗り出したというところ。

今年の初めには、米国公衆衛生局のVivek Murthy長官が、CNNのインタビューにて、ソーシャルメディア企業が定める13歳という登録年齢は早すぎると発言。13歳はまだ自己アイディンディティを確立している途中だというのがその理由です。

いわく、

もし保護者が団結して、16、17、18歳または保護者が思う適した年齢までソーシャルメディアを子どもに使わせないようにできるのなら、子どもが有害なものに晒されないための戦略としてはそれがずっと効果的だ。

また、バイデン大統領も、今年2月の一般教書演説にて、テック企業が子どもから収集するデータに制限を設けるべきと発言し、子どもをターゲットにした広告を禁止する法律の制定を呼びかけました。

子どもを守る法律にはみんな賛成、でもその線引きは?

アメリカでは、子どものオンラインでの安全をめぐり、多くの州でこれまた多くの法案が提示されています。

つまり大人が子どもを守ろうとする思いはみな同じなのです。

問題は、守るために必要なラインをどこに引くべきかということ。その線引きは、人・団体によって異なります。

子どものターゲット広告や中毒性あるプラットフォームデザインへの禁止は、多くの人が賛同する線引きがしやすいところ。

一方で、保護者がどれほどモニタリングするのかというのは意見が分かれます。

たとえば、アーカンソー州とユタ州では、子どもがソーシャルメディアのアカウントをつくるさい、親の許可が必要であるという条例がすでに成立。

ユタ州ではさらに踏み込み、18歳未満は午後10時半から午前6時半までソーシャルメディアアプリへのアクセスが禁じられます。

これに対し、一部の権利団体からは、年齢認証や保護者許可によって子どもの安全性は低下すると反対の声もあがっています。

APAの今回のレポートは、有益・有害かは個人の性格によるところが大きいこと、また子どものプライバシーとのバランスが必要なことが指摘されており、過激な保護者によっては線引きを見直すきっかけとなるかもしれません。

ユタ州で子どもの夜間SNS使用を禁止する州法が成立

ユタ州で18歳以下がSNSアプリを利用する場合、親の同意が必要になり、さらに夜間使用を禁止する法案が可決。

https://www.gizmodo.jp/2023/03/utah-bill-to-regulate-childrens-use-of-sns.html