ちまたで噂のあいつのすべて。
最近何かと話題のChatGPT。サンフランシスコのOpenAI社が生み出した最新のAIチャットボットですが、「なんでそんなに騒がれてるの?」って思っている方も多いかと思います。そこで今回は、現時点で「ChatGPTについてわかっていること」をざっくりまとめてご紹介します!
ChatGPTって何?

ChatGPTは「オリジナルのテキストを生成することができる人工知能ツール」です。対話型のサービスで、質問に答えてもらうことも、クリエイティブなプロンプトを入力すること(「海を背景にしたビジュアルエフェクトの作り方は?」とか)もできますし、詩や歌、エッセイ、短編小説、コードなどを書いてもらうこともできます。
ChatGPTはどうやって使うの?

ChatGPTの使い方はとても簡単。セットアップするにはまずOpenAIのアカウントを作成する必要がありますが、メールアドレスと電話番号だけで簡単に会員登録できます。登録するとChat GPTだけでなく、テキストプロンプトに基づいてイラストを作成するAIアートツール“DALL E 2”などのツールも使用できるようになります。

ChatGPTには、通常のチャットボットと同じくテキスト入力用スペースがあるので、そこに質問やコマンドを入れると「回答」というかたちで文書を作成してくれます。
例えば、「なぜ空は青いのか」「鳥小屋の作り方は」などと質問したり、「マクドナルドのハンバーグラーを主人公にしてレイモンド・チャンドラー風の物語を書いて」とお願いすることも可能。本当になんでもやってくれるので、とにかくいろんなことを試してください。
ChatGPTをより活用しやすくするChrome拡張機能も多数登場しています。
ChatGPTの公式アプリはあるの?(5月26日新設)

iPhone用(iOS用)のみ、あります。こちらからダウンロードできます。
・アプリ名:ChatGPT
・ダウンロード先:App Store
・料金:基本無料、アプリ内課金(月額3,000円)アリ
以下、簡単に使い方を紹介します(詳しい使い方はこちら)。

インストールして開くとこんな画面が出てきます。

画面下部のチャット欄に質問などを入力すると、ChatGPTが回答を作成します。

音声入力にも対応しています。
① チャット欄右端にある波形ボタンをタップすると画面が切り替わって録音が始まります。
② 青い部分にある「Tap to stop recording」タップすると録音終了、しゃべった内容が書き起こされチャット欄に入力されます。

会話を終了して新しい質問などをしたい場合は…
① 画面右上にある「…」ボタンをタップします。
② 開いたメニューから「New Chat」をタップすれば、今の会話を閉じてスタート画面に戻ります。また新しい会話・質問を始められます。

以前にした会話・質問も参照できます。
① 右上の「…」ボタンをタップします。
② 開いたメニューから「History」を選べば会話・質問の履歴が表示されます。あとは開きたいものをタップすればOKです。
ChatGPTは誰でも使えるの?
OpenAIのアカウント登録さえすれば誰でも使えます。
ChatGPTで日本語は使えるの?

日本語にも対応しています。
ChatGPTには言語を設定する項目はありませんが、日本語で会話を始めるとChatGPTも日本語で応答しますし、スペイン語で話しかければスペイン語で答えてくれます。
ChatGPTには何を聞くといいの?
編集部が試してみて良かったものをいくつか紹介します。
1. 「能率的な部屋の片づけの手順」を出してもらう

部屋が荒れてしまって困っているときに、ふと思いついてこんな風に質問してみました。ChatGPTが部屋の間取りやあるものを聞き返してきて、それに答えると…どういう手順で掃除すると綺麗になるかを提案してもらえました。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
2. 「今欲しい絵文字」をさくっと見つけてもらう
今伝えたいことにドンピシャな絵文字を探すのって何気に手間取りませんか? こういった地味な「困った」もChatGPTに助けてもらえます。
急いでいることを伝えるのに適した絵文字を教えて。
こう尋ねると、以下のような返事が返ってきました。

あとはいちばん合ったものを選んでコピーして使うだけ。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
3.レシピの提案

何気にChatGPTにお願いして良かったのが、献立を考えてもらうこと。
鍋とフライパンで15分以内に作れる料理教えて。お腹がいっぱいになればいいです。4人前でお願いします。
こんな風に条件をつけてもある程度うまくすり合わせ、何を買えばいいか、どういう手順で調理すれば良いかなんかまで教えてくれます。全体的に食材の味を活かしたヘルシー志向のレシピが多いのが特徴です。
ChatGPTが提案する料理だけで3日過ごしてみましたが、何の問題もありませんでした。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
4. 漫才をパロらせる

漫才の中にはシステム化されているものがあり、そういったものであればChatGPTにパロディを作ってもらえるのでは?と思って試したら、かなりうまくいきました。
上掲の画像にあるテンプレートをChatGPTに埋めてもらって作成してもらった台本の一部がこちら(お笑いコンビ「ミルクボーイ」さんのネタを元に作成させていただきました)。
ボケ「俺も iPhone と思うてんけどな」
ツッコミ「そうやろ」
ボケ「オカンが言うには 電池を振ると充電できる って言うねんな」
ツッコミ「ほな iPhone ちゃうやないかい 電池を振ると充電できるなんて、まるで懐中時計みたいじゃないか。iPhoneでそんな機能はないよ。」
ボケ「そやねんそやねん」
少し高度ですが、こういったお遊び的な使い方も可能です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
ChatGPTは間違えないの?
そんなことありません。実際、「デタラメばっかりじゃん!」という内容や、誤った情報を出してくることも多々あります。Chat GPTを使ってエッセイや記事を書く場合、ファクトチェックは必須でしょう。
ChatGPTは無料?
基本無料で利用できます。
課金すると何がちがうの?
月額20ドル(約2,500円)のサブスクリプションプラン「ChatGPT Plus」での利用も可能です。ピーク時でもアクセスしやすくなったり、応答時間が短縮されたり、新機能が使えたりします。
課金すれば「GPT-4」でさらに賢くなる

また「ChatGPT Plus」では2023年3月15日から、次世代大規模言語モデル「GPT-4」が利用できるようになりました。これは「ChatGPTがさらに、それもかなり劇的に賢くなったということです。

OpenAI自身の評価によると、デフォルトとなっているGPT-3.5では論理的思考能力(Reasoning)は5段階評価で3・手短に無駄なく文章を書く能力(Conciseness)は5段階評価で2でした。

GPT-4では論理的思考能力は5段階評価で5、手短に無駄なく文章を書く能力は5段階評価で4にまで引き上げられています(スピードは犠牲になっていますが)。
「検索して回答」もさせられる(5月17日新設)

必要であれば検索して最新の情報を反映して回答する機能(ウェブブラウジング機能)もテスト実装されており、5月17日時点ではChatGPT Plusユーザーの一部に開放されています(じきに一般に使えるようになるのではないかと思われます)。
ChatGPTは2022年以降のデータを参照できず、最新情報を踏まえた回答ができない、という弱点を抱えていました。それを改善する機能です。

ChatGPTにアクセス、画面左下を押してメニューを開き、Settings>Beta featuresと進んで「Web browsing」というトグルボタンが表示されていれば利用可能です。

オンにすると、スタート画面が変化し、GPT-4・Browsingを選択してから質問すると必要に応じて検索するようになります。体感ですが、「〜について調べてまとめて」のように伝えると、ほぼ確実に検索して回答してもらえます。

「ChatGPTプラグイン」で食べログなどを参照して回答を作成してもらえる(5月19日新設)

5月12日頃から課金ユーザー向けに順次開放されていっている「プラグイン機能」によっても、できることを飛躍的に増やせるようになりました。
さまざまなサービスから提供されたプラグインを活用することで、ChatGPTから宿を検索したり、チャットアプリにメッセージを送信したりできます。

利用するには、ChatGPTの画面の左下のボタンから「Settings」を開き、「Beta Features」から「Plugins」をオンにします。

プラグインが使用できるのはGPT-4を選択したときのみ。「GPT-4」をクリックして「Plugins(Beta)」を選択しましょう。

「No plugins enabled」と表示されているところを開き、「Plugin store」をクリックするとプラグインの一覧ページが表示されます。

好きなプラグインを選んで「Install」ボタンをクリックすればインストールができます。

こちらは言わずと知れた飲食店レビューサイト「食べログ」のプラグインを利用しているところです。ChatGPT上では飲食店の検索ができます。
場所や条件などを入れてChatGPTに聞くといくつかお店を提案してくれますし、テキストだけでなく店内の写真も添えてくれて親切。各お店の食べログページへのリンクもついています。
複数のプラグインを組み合わせることもできる

プラグインは1つのチャットで3つまで有効にできます。Expediaで提案してもらった箱根温泉の宿のURLをZapier(ザピアー)経由でツイートする、といったこともできます。
Zapierはさまざまなアプリを使った作業を自動化できるツールで、これがプラグインで使えるのはとても強力です。Zapierが対応するアプリは6,000以上、組み合わせ次第で建設的な仕事もしてもらえるのではないかと思われます。
今後追加される見込みの機能など
以下が追加され、さらに便利に使えるようになると思われます。
マルチモーダル
現在のChatGPTはテキストで入力しテキストで回答する文字ベースのAIサービスですが、テキスト以外──画像・音声・動画でもやりとりできるようになる見込みです。こういった複数のフォーマットの処理が可能なことを「マルチモーダル」と呼びます。
情報漏洩しないようにできる?
ChatGPTはユーザーの入力データを学習・改善に利用します。開発元のOpenAIは民間企業であるため、機密情報の入力は情報漏洩に当たるのでは?という懸念がつきまといます。結論から言うと、現状でこういった不安を完全に払拭することはできません。

ですが先日、入力データをAIトレーニングなどに利用しないモードが追加されました。
ChatGPTの画面左下、アカウント名から「…」→「Settings」→「Show」→「Chat History & Training」のスイッチをオフ。
で設定可能です(詳しくはこちら)。「AIに自分の会話を食われる」のが気になる方は、設定しておくと良いかと思います。なお、このモードにすると会話履歴が表示されなくなります。
また、会話は30日間保存され、不正行為の監視は行なわれるとのことなので、利用にはまだ注意が必要です。
ChatGPTはいつ、どこから来たの?
ChatGPTが世に出てきたのは昨年11月。開発したのは人工知能の研究開発に特化したOpenAIという企業です。OpenAIの設立にはあのイーロン・マスク氏も参加していました。他にも何かとお騒がせな投資家が何人も名を連ねており、右翼系億万長者のピーター・ティール氏も創業当初は相当額の資金を投じています。代表は、創始者メンバーの1人でもあるサム・アルトマンCEO。
ChatGPTの仕組みは?
ChatGPTを動かしているのは「ラージ・ランゲージ・モデル」と呼ばれるアルゴリズム。このアルゴリズムに大量のテキストデータを覚えさせることで、とってもリアルで「まるで人が書いたような」文章を生成することができる自然言語処理ツールになっているのです。
ChatGPTの問題点は?
ChatGPTにはユーザを熱狂させるだけの魅力がありますが、その反面、既存産業や教育機関(大学・高校など)への影響など、多くの懸念があることも事実です:
・人間のライターがいらなくなる。
・事実と異なる記事を作ることがある(実際にありました)。
・ フェイクニュース記事が大量生産できる。
・サイバー犯罪のハードルが下がり、マルウェア作成が容易になる
・情報の流出が問題になることも
企業は機密情報をChatGPTで処理することが問題視されるようになりつつあります。1月の時点でAmazonが社員に社外秘データをChatGPTに共有しないように通達、4月に入ってサムスンで機密コードや会議音声の処理をChatGPTに処理させたことが大問題となりました。
OpenAIもこの点については課題感を抱いているようで、来日したCEOが与党の会合で「機微データ保全の仕組みを検討する」といった提案をしています。
ChatGPTはこれからどうなる?
今後どうなるかはまだわかりませんが、OpenAIがかなり将来の「勝ち組」に近いポジションを得たことは間違いないでしょう。
同社はその勢いをさらに拡大する姿勢も見せています。4月にCEOであるサム・アルトマン氏が来日、岸田文雄総理大臣と面会、与党の会合で「ChatGPTを日本でより利用しやすくする用意がある」という主旨の提案をしています。また、事業拠点を設ける意向も明らかにし、日本でのChatGPT普及に向けたアクションもすでにとられています。

マイクロソフトは同社の検索エンジン「Bing」とChatGPTとの統合を発表・公開しています。ウェブ上にある最新情報を人間の代わりにAIが検索しながら質問に答えてくれるというサービスで、スマートフォンやPC上で無料で使えます。
Googleも独自の対話型AI「Bard」を発表

こうしたOpenAI・マイクロソフトの動きに対して、検索の王者であるGoogleは「Bard」と呼ばれる対話型AIを発表し、対抗する構えです。
Bardは現在、米国・英国で実験版がリリースされています。Googleは人工知能開発に長く取り組んできている企業であり、その性能には期待が持てそうです(現時点ではChatGPT・マイクロソフトが一歩先を行っている感はありますが)。
専門家によれば「ホワイトカラーの仕事のほとんどすべてに何らかの影響がある可能性が高い」(5月10日更新)
先日、日本のAI研究の第一人者である東京大学の尾豊氏が研究室としての見解をまとめた資料が公開されました。そこには以下のような見解が記されており、激甚な影響があると見られていました。
「Chat GPTの卓越したコミュニケーション制度と圧倒的な知識量から、以前では決してできなかったことまでできるようになっている」
「人間が自分で打つ時代は終わって、情報の収集や要約、可視化まで自動化される可能性」
「ホワイトカラーの仕事のほとんどすべてに何らかの影響がある可能性が高い」
また、米コーネル大学も大規模言語モデル(LLM・ChatGPTのバックボーンとなる技術)が労働市場に与える影響についてのレポートを公開しています。労働者80%の業務10%が影響を受けるとしており、やはり大きな影響があると見られています。
大まかな内容は以下。
・GPT導入により、米国の全労働者のうち約80%の人が業務の10%程度で影響をうける。約19%の人は業務の50%に影響がある可能性も
・賃金の高い低いを問わずほぼすべての人に影響を与えるが、高年収のホワイトカラー職への影響がもっとも大きい
・影響が大きいのはプログラマーやライター業
・科学分野やクリティカルシンキング(批判的思考)を必要とする分野への影響は少ないとされています。
・クレーンオペレーター、刃物師、杭打ち機オペレーター、石工など、主に建築系や職人系の職業への影響は非常に少ない
実際にChatGPTを導入することでどうなるかを検証する企業も現れています。サポートセンターで行なわれた調査では「新人とベテランスタッフの実力差をAIでかなり埋められた」とのこと。
対話型AIは検索だけでなく、私たちの仕事・生活に大きく関わってきそうです。
2023年2月3日更新:OpenAIがサブスクリプションプランを発表したため、料金について更新しました。
2023年2月6日更新:日本語利用に関する情報を更新しました。
2023年2月7日修正:項目を並べ替え、目次を追加しました。
2023年3月15日更新:実装されたGPT-4および東京大学松尾研究室の見解を記載しました。
2023年4月4日更新:ChatGPTを活用するChrome拡張機能が登場していること、コーネル大学がまとめた労働市場への影響に関するレポートについて追記しました。また、BingとBardに関する記述をアップデートしました。
2023年4月10日更新:ChatGPTに今後追加される見込みの新機能と、CEOが日本に対して行った発言について追記しました。
2023年4月21日更新:「ChatGPTには何を聞くといいの?」を新設しました。
2023年4月28日加筆:「情報漏洩しないようにできる?」を新設しました。
2023年5月10日更新:「プラグインでの機能拡張」「専門家によれば『ホワイトカラーの仕事のほとんどすべてに何らかの影響がある可能性が高い』」を加筆しました。
2023年5月15日更新:食べログのプラグインについて記載しました。
2023年5月17日更新:ブラウジング機能について記載しました。
2023年5月19日更新:「「ChatGPTプラグイン」で食べログなどを参照して回答を作成してもらえる」「公式アプリ『OpenAI ChatGPT』」を新設、章立てを整理し、「課金すると何がちがうの?」を設けました。
2023年5月26日更新:公式アプリが日本で利用できるようになったことに伴い、項目を整理し、「ChatGPTの公式アプリはあるの?」を新設しました。