赤いパワーエサを食べる黒いパックマン。
すごい勢いで世界に普及し、いろんなアプリにも統合されるようになった、AIチャットボットの「ChatGPT」。既存の情報を引っ張ってくるとデタラメを言うこともありますが、創造的なプロセスはけっこう得意。
スイス連邦工科大学ローザンヌ校とデルフト工科大学が、「ChatGPT3」に人類の将来の課題を答えてもらい、そこから人の役に立つロボットを設計してもらう、というおもしろい試みに挑戦しました。
完成したトマト収穫ロボは、『パックマン』にソックリなロボットハンドを持ったマシーン。完成まで「ChatGPT3」が何度も活躍しました。

トマト収穫機はどうやって生まれた?
研究者たちは人の役に立つロボットを作りたいと思っていましたが、特にトマトの収穫をすることは考えていませんでした。
最初は「ChatGPT3」に人類が将来直面する課題を挙げてもらいました。提示されたのは食料の供給問題、人口の高齢化、気候変動の3種類。そこで専門分野から一番遠そうな、食糧問題で行こうと決めたのだそうです。
次に専門的だったり学術的な自然言語処理の大規模言語モデル(LLM)を使い、ロボットに必要な機能を質問すると? 熟したトマトを収穫するモーター式の装置が提案されたのだそうです。
質問を進めると、グリップには柔らかいトマトを潰さないようシリコンやゴムを使い、ROBOTIS社の「Dynamixel」モーターを採用するなど細かい指定があり、モーター制御のためのコードまで生成できたのでした。
Can #ChatGPT design a robot? Is this a good thing for engineers, are there risks? Researcher Cosimo Della Santina teamed up with @EPFL and went on a journey with the #AI chatbot to design and build a robotic tomato plucking arm. https://t.co/wIhTLVtHTR📸© Adrien Buttier / EPFL pic.twitter.com/LrPOwNp0j1
— TU Delft (@tudelft) June 7, 2023
AIはトマト好き?
そもそもトマトが選ばれたのは、「ChatGPT3」的にロボット収穫機が作業するため最も価値がある野菜だと判断されたからなのだそうです。研究者たちは、もしかしたら学習された資料にトマトが最も多く登場したからなのかもしれない…と考えており、偏った答えである可能性を考慮しています。
AIが人間の職を奪うって話は?
言及はないものの、これでトマト農家がなくなることはないでしょうし、むしろ効率化に進むかと思います。
AIは人間の疑問に対して最適解の助言を出すもの。今回の研究は、人間とAIが共同で新たなメカを発明した点がポイントで、たいへんうまくいった例ではないでしょうかね。
今後もこのロボで研究を進めるそうなので、しばらく使った後のさらなる進化に期待したいところです。
Source: Twitter, TUDelft, EPFL via NEW ATLAS