AIが人事評価をする時代に向けてどう備えるべきか

  • author Catherine Rymsha, The Conversation・Gizmodo US
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AIが人事評価をする時代に向けてどう備えるべきか
Image: Stokkete / Shutterstock

AIが採用候補者を見定めて、人事評価をする時代です。

人事管理システムが進化して、よりデータドリブンな人事管理が可能になり、人材の採用から育成から昇進から解雇まで、すべてにAIが関与するようになっていきます。

このAIと人事システムの進化により、従業員にはどのような影響があるのか考察していきます。

AIが職の応募情報をレビュー

あなたがとある職に応募したことを想像してみましょう。

一生懸命書いた履歴書を、その会社のウェブサイトにアップロード(そのプラットフォームは、他の会社や仕事に応募するときに使ったものに似ていることに気づきます)。そしてサイト上で、履歴書と同じような数え切れないほどの入力項目を埋めていきます。「送信」ボタンを押して、担当者からのフォローアップメールを期待します。

あなたが送信したデータは、その会社の人事管理システムの中で活用されます。

丁寧に書かれた履歴書を見る企業はほとんどなくなり、入力項目に入れられた情報だけを見て、他の何百人もの候補者と採用条件を比較するようになります。

たとえ履歴書上で自分がいかに優秀な応募者であることをアピールしても、それだけで採用担当者の目に留まることはなくなります

パフォーマンスを評価するのもAI

そして選考過程が順調に進み、面接もパスし、無事採用が決まったとします。

あなたの情報は会社のデータベースに入り、従業員の人事管理システムの中で新たなステージに進んでいきます。あなたの人事考課やその他のデータはプロフィールに関連づけられ、人事管理システムや人事が監視し評価するためのデータが追加されます。

AIの進化により、人事は従業員のデータをより深いレベルで見ることが可能になりました。このデータから得られる推察は、誰かが退職したときに重要なリーダーの役割ができそうな有能な社員を特定し、昇進させるかどうかの意思決定に役立てられます。また、登用や昇進における好感度や偏見も特定することができます。

その職務を遂行していくなかで、あなたのパフォーマンスに関するデータも追加・分析されていきます。業績評価、上司からのフィードバック、専門的な能力開発活動、またはその不足が含まれるかもしれません。

このように大量の人事データを長期に渡って蓄積していくことで、人事は従業員が組織の成長をどう支えていけるかを考えることができるようになります。例えば人事データから特定の従業員が辞める可能性を見つけて、それによってどのくらい会社に影響が出るかを評価することも可能になります。

そしてすでに多くの人が日々利用しているプラットフォームは、サインインしてからサインオフするまで、さまざまな生産性のデータを集計しています。例えばTeams、Outlook、SharePointなど、多くの企業に普及しているMicrosoftツールは、ワークプレイス分析ツールを通じて、上司にその情報を元に部下の管理に役立てることも可能です。

業務パフォーマンスの「良い」「悪い」を定義するための指標や行動も変わっていき、上司の判断に依存することも減っていくでしょう。データが蓄積されていけば、コンサルタントや医師、マーケッターといった専門的な職業も、定量的かつ客観的に測定されるようになるでしょう。

一方、2022年のNew York Times紙の調査では、従業員の生産性と説明責任を向上させるためのこういったプラットフォームの存在は、従業員のやる気をなくし、恐怖心を与えることがわかりました。

アメリカの労働者は、自分たちのデータがどのように使われているのか、そのデータがどのようなストーリーで語られているのか、そしてそのデータが自分たちの未来をどのように左右するのか、考え始めるべきであることは明らかです。

AIによるキャリアの最適化

もちろんすべての企業がこのような人事管理システムを導入しているわけでも、このようなタレントデータを使って意思決定をしているほど進んでいるわけではありませんが、一部には驚くほど進んでいる企業もあります。

筆者が最近参加したMicrosoft Vivaサミットでは、PayPalやRio Tintoといった企業の最高人事責任者が、こうした先進的な技術をどのように活用しているかを説明していました。

一部の研究者は、AIによって採用や昇進から暗黙知のバイアスを取り除くことで公平性を推進できると主張していますが、多くは人間によって構築されたAIが、昔からある課題を新しい箱に入れ直しているだけだという危険性も訴えられています。Amazon(アマゾン)は2018年に同社が構築した履歴書を分類するAIが、プログラミング職で男性を優遇したという事例から、このAIを放棄せざるを得ませんでした。

さらにデータの収集と分析がより増えていくことで、組織は非常に明確な状態にあるにも関わらず、従業員は自分の立ち位置が不明確なままになってしまうこともあります。

AIが組織をどのように変革しようとしているのか理解し、雇用主に透明性を求めることができれば良いでしょう。これらは、従業員が次の人事考課で尋ねることを検討すべきデータポイントです。

  • 私はポテンシャルの高い社員として見ていますか?
  • 私のパフォーマンスは他の社員と比べてどうですか?
  • あなたは私を、自分や他の人の役割の後継者として見ていますか?

その会社の文化や社内政治、人間関係といった従来的な側面も抑えていく必要があると同時に、これらのプラットフォームを扱いを知り、自分がどのように評価されているかを理解し、よりデータドリブンな方法で自分のキャリアを築くべきか、学ぶ必要がある時代になりました。

上司だけでなく、AIにどのように評価されるのか、分析と対策が必要になってきそうです。

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https://www.gizmodo.jp/2023/02/265896.html