ロシアのスパイと言われたイルカ、孤独に耐えられずノルウェーからスウェーデン沖に移動

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  • author Nikki Main - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岩田リョウコ
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ロシアのスパイと言われたイルカ、孤独に耐えられずノルウェーからスウェーデン沖に移動
Image: Petr Slezak (Shutterstock)

どちらにしても健やかに生きてほしいものです。

ロシアのスパイではないかと考えられていた、2019年にノルウェー沿岸で見つかったシロイルカ「バルジミール」

ずっとノルウェー沿岸に住んでいたバルジミールなんですが、今回、スウェーデン沖に移動したとのこと。どうやら4年前にノルウェーに到着してからずっと他のシロイルカに出会うチャンスがなかったようで、伴侶を探しに遠くへ移動し始めたそうです。

パートナーを探しにお引越し?

ノルウェー語の「イルカ」とプーチン大統領のファーストネーム「ウラジミール」を合わせて「バルジミール」とニックネームがつけられていたこのイルカ。スパイ用(?)のビデオカメラを取り外して以来4年間、研究者チームが追跡を続けています。

ロシアのスパイだと考えられていた理由は、発見時、カメラが装着されたハーネスをつけていたから。しかもそのハーネスには「サンクトペテルブルク」という名が記されていたそうです。

ロシア軍はシロイルカを軍事作戦で冷戦の時に地雷や魚雷を探すために訓練して利用していたことがあったので、このイルカもスパイなのでは?と考えられてきました。

地元の漁師さんたちに発見された際、おそらく人に訓練されていたこともあり、人懐っこく、キツくつけられていたハーネスを簡単に取り外させてくれたそうです。

バルジミールが突然早く移動を始めた理由はわからないのですが、シロイルカは集団で行動する生き物なので独りが寂しくなり、伴侶を見つけたいというホルモンからなのか、他のシロイルカを探しに出かけたのかもしれません。シロイルカは40年から60年生きるのですが、バルジミールの現在の年齢は13~14歳くらいだと推測されていて、ホルモン状態的にはピークですね。

とOneWhaleという団体の海洋学者、Sebastian Strandさんがガーディアン誌の取材に答えています。

そもそも本当にスパイなのか

2019年にバルジミールが発見されてから、ロシアは公式になにも声明を出してはいませんが、ロシアの予備役将校Viktor Baranets氏が「もし我々が動物にスパイを任せていたとして、この番号に電話をしてくださいなんていうメッセージを書くと思いますか?軍事作戦でイルカを使っていますが、別にそれを隠したりはしていませんよ」と、バルジミールはロシアのスパイではないとBBCにほのめかすコメントをしていました。

ノルウェーではサーモンなどをしっかり食べて食糧にはありつけていたようですが、スウェーデンに移動してちゃんと食糧をゲットできるか学者たちは少し心配もしているとのこと。

仲間に会ってちゃんとご飯も食べられるといいですよね...。バルジミール、がんばれ〜!