触れた人、いーなー!
WWDC23で発表されたApple(アップル)の空間コンピュータVision Pro。スティーブ・ジョブズ・シアターの展示では、ギズモード編集部も間近にじっくりと見てきました。
が、基本は見るだけの撮影用で、その場で手にとって装着するのNG。ただ、一部メディア向けに30分間のデモが公開されていました。
ビジネスコンピューターと同価格帯なのに、ホームエンタメに重きを置いたVision Proのターゲットは一体誰なのかと疑問を持つ人がいる一方で、仮想世界と現実をつなぐ直感的かつ実際に使えるマシンができてたと期待をする人もいるでしょう。
すべては着けてみないとわかりません。発売されてみないとわかりません。
でも、未来を知りたいと思う好奇心は止まらない! てことで、30分間のデモに参加した人たちの意見をまとめてみました。
Vision Proって使いやすいの?
現段階で最も注目されているのは、コントローラーを持たず、目と手の動き=アイトラッキングとジェスチャーコントロールで操作するという方法。
TechCrunchのMatthew Panzarino記者によれば、コントロールのために手をヘッドセットの前にかざしておく必要はないそう。
また別のデモ体験者の話では、指の動き(ピンチ、フリック、ドラッグなど)が、高精度のアイトラッキング技術と連動しめちゃくちゃ直感的だったといいます。
表示されるパネルの下を見て、そこからあっちこっちに引っ張り押したりしながら、アプリの切り替えなどのUIも直感的なので、装着後すぐから操作できるとのこと。
また、ユーザーがモノをAR内に持ち込むと、ディスプレイ上ではピクセルの雲からモノを実体化するなど、デザイン性のあるユニークな仕掛けもあるそうです。
あっちの世界のビジュアルは?

CNETのScott Stein記者は、そのディスプレイの質の高さに驚いています。
Vision Proは搭載されている複数のパススルーカメラを用いて周辺環境を取り込みますが、体験した人からはそこにほぼラグがないという意見が。つまり、センサーが察知してディスプレイに表示されるまでに、間を感じなかったと。
素晴らしいのは、ヘッドセット装着ユーザーが話しかけている人の顔を検出し、ディスプレイに表示してくれるところ。これ、The VergeのNilay Patel編長超いわく、Appleのデモ動画にあったのとほぼ同じ使用感だったとか。
TechCrunchいわく、外光をシャットアウトするためのシーリングはまだ何を採用するか検討中のよう。Panzarino記者によれば、パススルーモード体験中に若干の動きのブレが見えたそう。
ただ、それ以外は非常にシャープ。Stein記者は『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』を見たそうですが、映画館よりも3D体験が素晴らしかったという感想でした。
重いの?
体験した人の感想で一致しているのが、重いということ。
デモ時間わずか30分ですが、その短い時間ですら重いなと思ったと。市場にすでに出ているVRヘッドセットと同等、またはそれ以上の重さを感じたといいます。
Appleいわく、ヘッドセットのフレームはアルミ合金、バイザー部分はガラス製。となれば、Meta Quest 2のように基本プラスティックな端末と比べたら、そりゃね…。
バッテリー(2時間)を外付けにした理由はそこにあるわけで。もし、バッテリーがヘッドセット内蔵だったら、相当重くなっちゃいますから。
重さはQuest 2と同じ1ポンド(約0.4kg)という説がありますが、そうなるとストラップ1本でどれほど安定感があるのかなという気はします。ウォール・ストリート・ジャーナル紙のJoanna Stern記者のこの感想一文が、その重さがよく伝わるかと。
感動的、イマーシブ(没入感がある)、重い。
テック系YouTuberのMarques Brownlee氏は、Vision Proの目と手のトラッキング操作を高評価し、ヘッドセット自体も「とてもいい出来」と評したものの、装着感については(バッテリーがもつ)2時間これつけてられるかな…と疑問を口にしています。やっぱ、重いんだな。
テック系ブロガーのMarques Brownlee氏は、フライト中エンタメを想定し、この重さの荷物を機内に持ち込みたいと思うかな…と、やはりその重さに苦言を呈しています。
外付けバッテリーどう?

バッテリーはヘッドセットとワイヤーで繋がっており、このワイヤーはねじって固定可能。バッテリー自体はUSB-C経由で充電可。
ただ、今回のデモではこれを着けてウロチョロ歩き回る人はいなかったそうで、現実的にワイヤーが邪魔になるかどうかはわかりません。
既存VRユーザーならば、有線で繋がっているということの煩わしさは身にしてみているはず。ホームエンタメや、仕事の作業、バーチャル通話など、基本は座って使う想定なのかな。
熱問題は?
Vision Proは、当然なんらかのセンサーが常に作動しています。が、使ってみた人たちからは熱いとかうるさいという声は聞こえていません。
過去にはオーバーヒート問題で開発に遅れなんて噂もありましたが、どうやらガセネタだったか解決されたかのよう。
Patel編集長いわく、端末下から空気を取り入れ、上に吐き出しているようだとのこと。やはり30分という短いデモ時間なので、熱や音にまでは意識がいかなかった可能性もあり。
メガネとしては?
Vision Proは、メガネユーザーに向けては度を入れる機能を持ち合わせており、デモ会場にも視能訓練士の姿が。WiredのLauren Goode記者は、メガネをその場でスキャンし度をいれてもらったそう。
また、Patel編集長も目が悪い人は度をいれなきゃ使えないと発言しているので、メガネとの併用は不可。
AppleはZeissとタッグを組んで度入りレンズのオーダーを展開する方針で、この特別レンズは実装するためのマグネット付きだそうです。コンタクトレンズユーザーは問題なし。
デジタルの自分はリアルなの?

デモでは全機能が公開されていたわけではないものの、FaceTimeは利用できたとのこと。
Vision Proを装着してのFaceTime動画通話では、自分のデジタル版である「ペルソナ」が登場。Brownlee氏とPatel編集長は、このぺルソナに「不気味の谷」を感じたとのこと。
また、別の体験者からは、目と口しか動いていないという意見も。Goode記者は、実体を持たない奇妙さと感じたそう。
Appleいわく、ヘッドセットで顔をスキャンしてペルソナを作るということでしたが、デモではまだそこはできなかったので違和感があったのかもしれません。