芸術の秋、よし、映画を観よう。
というわけでようやく涼しくなったと思ったら、もう2023年も残りわずかになりましたね。今年も多くの映画が公開されました。
めちゃくちゃ完成度が高かった『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』やアカデミー賞で話題をかっさらった『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』などの話題作も。
さて、今回は2023年9月以降に公開(公開予定も含む)の注目映画と、新作を見る前に予習として観ておくとより一層おもしろくなるであろう映画をご紹介します。
<目次>
1. 『アステロイド・シティ』
3. 『グランツーリスモ』
4. 『ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!』
5. 『キリエのうた』
7. 『ゴジラ-1.0』
8. 『ザ・キラー』
9. 『マーベルズ』
10. 『ナポレオン』
11. 『PERFECT DAYS』
『アステロイド・シティ』
劇場公開日:2023年9月1日
監督・脚本:ウェス・アンダーソン
出演:ジェイソン・シュワルツマン スカーレット・ヨハンソン トム・ハンクス エドワード・ノートン エイドリアン・ブロディ ほか
日本でも非常に人気のウェス・アンダーソン監督の最新作。
今作は、とある砂漠の町に宇宙人が飛来したことから始まるドタバタ劇。
たくさんのキャラクターが交差するウェス・アンダーソン節炸裂のコメディで、オフビートなストーリーやキャラクターも魅力的です。
ウェス・アンダーソン作品は、独特のレトロポップのような色彩、印象的なロングショットやシンメトリー構図など、ビジュアルメイクが本当にすばらしくて映像としての完成度が高いのが特徴といえます。
さらに、毎度のことながら俳優陣がとても豪華です。今作でもたくさんの有名俳優が出演していますよ。
おすすめの関連作品
予習作品としては、これまでのウェス・アンダーソン作品を観ておくといいでしょう。特に評価の高い『グランド・ブダペスト・ホテル』や、監督の名を広く知らしめた『ダージリン急行』などはおすすめです。
さらに、ウェス・アンダーソン監督の新作は、もうひとつあります。タイトルは『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』。主演はベネディクト・カンバーバッチ。
こちらはNetflixで2023年9月27日より配信開始しています。
『チャーリーとチョコレート工場』や『ファンタスティック Mr.FOX』の原作としても知られる作家ロアルド・ダールの同名短編小説をらしさたっぷりに映画化していますよ。
『ホーンテッドマンション』
劇場公開日:2023年9月1日
監督:ジャスティン・シミエン
出演:ロザリオ・ドーソン ラキース・スタンフィールド オーウェン・ウィルソン ほか
ディズニーランドのお化け屋敷アトラクションとして知られる「ホーンテッドマンション」の実写映画。
破格の条件で手に入れた豪華な洋館に引っ越してきた親子。しかしそこは999人のゴーストが住む呪われた館でした。霊媒師など心霊のエキスパートたちも加えた人々とゴーストたちが織りなす恐怖と笑いのホラームービー。
監督のジャスティン・シミエンは、かつてディズニーランドで働いていた経歴があり、ホーンテッドマンションにも数え切れないほど乗ったのだそうです。舞台となる洋館からゴーストたちの造形、カメラのアングルまでこだわり抜いているところも注目です。
おすすめの関連作品
ディズニーアトラクションの実写映画はこれまでにも数多く公開されています。『ホーンテッドマンション』も2003年にエディ・マーフィーを主演にホラーコメディとして映画化していました。
これらのディズニーアトラクション映画を事前に観ておくと、今作がどのような点にこだわったかが見えてくると思います。
『グランツーリスモ』
劇場公開日:2023年9月15日
監督:ニール・ブロムカンプ
出演:アーチー・マデクウィ デヴィッド・ハーバー オーランド・ブルーム ほか
日本発の人気レーシングゲームの実写映画。さらに、実話を基にした物語です。
「ゲームの映画化で実話」って?と思いますが、今作は「ゲーム『グランツーリスモ』のトッププレイヤーを現実のレーシングドライバーにする」というプロジェクトで実際にレーサーになったヤン・マーデンボローの物語なのです。
これだけでも「ゲームの映画化」というフォーマットとは異なりますし、このゲームが持つ"現実のドライビングをシミュレートする"という特性がそのままこの映画の特徴となっています。
監督のニール・ブロムカンプによるグラフィックを織り交ぜた映像も、リアルとバーチャルの境界を交差しつつ、レースという極限環境に身を置く主人公の葛藤を描いていてすばらしいの一言です。
おすすめの関連作品
今作については、関連作品としてゲーム原作映画をあげようと思っていましたが、むしろレースに向き合う主人公の姿をより感じさせるようなヒリヒリとした上質なカーレース映画をぜひ観ていただきたいと思います。
『ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!』
劇場公開日:2023年9月22日
監督:ジェフ・ロウ
製作・脚本:セス・ローゲン ほか
世界的な人気を誇るコミック「ミュータント・タートルズ」が原作の映画。アニメや実写映画など多くの作品が公開されてきましたが、今作はフルCGアニメーション映画です。
ストーリーはおなじみ、ニューヨークの地下水道に流れた「ミュータンジェン」によって人間のように突然変異してしまった4人の亀たちが織りなすアクション。今作ではスーパーフライ軍団というミュータントヴィランと戦います。
今作は、フルCGなのにCGのいやらしさがないといいますか、ヌルヌルと動きつつもアメコミのような独特の躍動感も感じる手描きの質感が素晴らしいです。
また、マットでありながら鮮やかな色彩により独特の雰囲気があります。ヒップホップの名曲も多く流れ、よりストリート感を感じられるのも魅力のひとつです。
おすすめの関連作品
こうした違いも含めて、過去の「ミュータント・タートルズ」作品と比較してみましょう。個人的には初めて観た1990年の実写映画「タートルズ」を推したいですが、こちらは配信がありませんでした。
『ミュータント・タートルズ -TMNT-』(2008年:CGアニメ映画) U-NEXT, Amazonプライムビデオ
『ミュータント・タートルズ』(2014版:実写映画) U-NEXT, Hulu, Amazonプライムビデオ
『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影 <シャドウズ>』(2016年:実写映画続編) U-NEXT, Hulu, Amazonプライムビデオ
『キリエのうた』
劇場公開日:2023年10月13日
監督:岩井俊二
出演:アイナ・ジ・エンド 広瀬すず 松村北斗 黒木華 村上虹郎 ほか
岩井俊二監督の新作『キリエのうた』。
歌うことでしか声を出せない主人公・キリエを取り巻く若者たちの13年にわたる物語を描きます。
主演は、独特のハスキーボイスとダンス表現に定評のある歌手のアイナ・ジ・エンド。岩井作品には過去にも歌手をフィーチャーした映画があり、音楽がひとつのキーテーマです。
また特徴として、カメラアングルやカットアップ、あるいは常にフィルターがかかったような色調まで、一見すると少しズレたような映像表現があります。
それらの表現によって生まれる生々しさや儚さも岩井俊二を特徴づけています。
おすすめ関連作品
今作でもそれは顕在で、これまでの岩井俊二の作品を観ておくとより楽しめるでしょう。
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
劇場公開日:2023年10月20日
監督:マーティン・スコセッシ
出演:レオナルド・ディカプリオ ロバート・デ・ニーロ リリー・グラッドストーン ジェシー・プレモンス ほか
配信:Apple TV+(近日公開予定)
巨匠マーティン・スコセッシ監督とレオナルド・ディカプリオ主演という名タッグに加え、朋友ロバート・デ・ニーロが出演する新作サスペンス西部劇。
今作は実際に起きたアメリカ先住民連続殺人事件を基にしたノンフィクション小説が原作の先住民と白人の争いを描いたサスペンスです。
1920年代に石油を発掘したアメリカ先住民とその利権を求める白人たち。争いは殺人にまで発展していく、というストーリー。
今作は、マーティン・スコセッシが作ってきたギャング・マフィア映画や伝記映画が合わさった集大成のような映画ともいえるでしょう。
今作は、Apple TV+にて近日配信予定とのことです。
おすすめの関連作品
これまでのマーティン・スコセッシ作品、特にレオナルド・ディカプリオと初めてのタッグとなった作品でもある『ギャング・オブ・ニューヨーク』はおすすめです。
巨匠と呼ばれるだけあって、それぞれの年代ごとに好きな映画をあげられるほど作品が多いです。配信サイトの関連作品からほかの監督作を観るのもいいでしょう。
『ギャング・オブ・ニューヨーク』 U-NEXT
『グッドフェローズ』 U-NEXT, Amazonプライムビデオ
『キング・オブ・コメディ』 Disney+, U-NEXT, Hulu
『ディパーテッド』 Netflix, U-NEXT, Amazonプライムビデオ, Hulu
『アイリッシュマン』 Netflix
『ゴジラ-1.0』
劇場公開日:2023年11月3日
監督・脚本・VFX:山崎貴
出演:神木隆之介 浜辺美波 ほか
ゴジラ映画の最新作「ゴジラ-1.0」。1950年代から始まり、近年は海外の作品も多く出ていますね。今作では山崎貴が監督を務めます。
まずこの「ゴジラ-1.0」というタイトル、"イッテンゼロ"かと思いきや、"マイナスワン"と呼ぶんですよね。
というのも今作の舞台設定は戦後の日本。戦争によって多くのものを失いゼロになった日本をマイナスに傾ける災害としてゴジラが現れます。
ゴジラがどのように人々に襲いかかるか、人間はどのように対抗するのか、気になりますね。
さて、今作では山崎貴によるグラフィックによるビジュアルメイクも注目です。戦後の日本の風景、ゴジラのビジュアル、崩壊していく街や戦闘シーン、これらの迫力は凄まじく、期待が膨らみます。
おすすめの関連作品
おすすめとしては、これまでのゴジラ映画の変遷を見つつ、近年のゴジラ映画を観てから今作を観るとより一層楽しめるでしょう。加えて、山崎貴作品も観ておくとおもしろいはずです。
U-NEXTでは、1954年版『ゴジラ』から始まり多くの作品が配信されているのでおすすめ。個人的には、初めて観た1991年の『ゴジラ VS キングギドラ』も推したいです。
『シン・ゴジラ』 Amazonプライムビデオ
『GODZILLA ゴジラ』 U-NEXT, Amazonプライムビデオ
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』 Netflix, U-NEXT
『ゴジラ VS コング』 Netflix
『ザ・キラー』
劇場公開日:2023年10月27日
監督:デヴィッド・フィンチャー
原作:アレクシス・ノレント
出演:マイケル・ファスベンダー チャールズ・パーネル ティルダ・スウィントン ほか
配信:Netflix
配信開始日:2023年11月10日
名作を多く生み出すデヴィッド・フィンチャー監督の最新作。今作はNetflix配信と、それに先立って劇場公開がされる予定です。
フランスのコミックが原作で、"殺し屋"を主人公としたノワールサスペンス。
名無しの殺し屋がとあるできごとから依頼主と争うことになったり、別の殺し屋から狙われたり、というストーリー展開のようです。
予告でも存分に窺えますが、薄暗い部屋や夜闇というシチュエーション、青や緑が強調された色調、印象的なレンズフレアなど、フィンチャーらしさが抜群に出ている映画だと思います。
おすすめの関連作品
さて、今作は特にサスペンスやスリラー的要素が強そうなので、『セブン』や『ファイト・クラブ』など初期作品はおすすめです。加えてNetflix配信の『マインドハンター』なども観ておくとよりフィンチャー映画を理解できるのではないかと思います。
『セブン』 U-NEXT, Hulu, Amazonプライムビデオ
『ファイト・クラブ』 Disney+, U-NEXT, Hulu
『ゾディアック』 Netflix, U-NEXT, Amazonプライムビデオ
『ドラゴンタトゥーの女』 U-NEXT
『ゴーン・ガール』 Netflix, Disney+, U-NEXT, Hulu, Amazonプライムビデオ
『マインドハンター』 Netflix
『マーベルズ』
劇場公開日:2023年11月10日
シリーズ:マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU) フェーズ5
出演:ブリー・ラーソン テヨナ・パリス イマン・ヴェラーニ パク・ソジュン サミュエル・L・ジャクソン ほか
マーベル・コミックのキャラクターたちが同一世界を共有する作品群「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」の新作『マーベルズ』。
主人公は、地球人でありながら事故でスーパーパワーを得た超人・キャプテン・マーベル。さらに、彼女と縁のあるモニカ・ランボーとミズ・マーベルの3人でチームを組むことになります。
しかし、チームワークは噛み合わず、その上能力を使うたびにそれぞれが入れ替わってしまうとのこと。そんな中でキャプテン・マーベルを狙うヴィランを打ち倒すために協力して戦うというストーリー。
現在のMCUの「マルチヴァース」という並行世界のようなキーテーマを背景にどんなストーリーになっていくか、またほかのMCU作品とどう関わっていくかが気になるところです。
おすすめの関連作品
まずは、前作『キャプテン・マーベル』、そしてモニカ・ランボーが覚醒するドラマ『ワンダヴィジョン』とミズ・マーベル誕生を描くドラマ『ミズ・マーベル』は押さえておきましょう。
『キャプテン・マーベル』 Disney+
『アヴェンジャーズ/エンドゲーム』 Disney+
『ワンダヴィジョン』 Disney+
『ミズ・マーベル』 Disney+
『What If...?』 Disney+
『スパイダーマン: ノーウェイホーム』 Netflix
『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』 Disney+
『ナポレオン』
劇場公開日:2023年12月1日
監督:リドリー・スコット
出演:ホアキン・フェニックス ヴァネッサ・カービー ほか
配信:Apple TV+(近日公開予定)
巨匠リドリー・スコット監督の最新作。タイトル通り、ナポレオン・ボナパルトの生涯を綴った歴史大作です。
フランス皇帝にまで上りつめた軍人・ナポレオン。妻となるジョゼフィーヌとの出会い、トゥーロンでの戦いやエジプト遠征、そしていかにして皇帝になったのかを壮大なスケールで描くスペクタクル映画です。
また、そのナポレオンを演じるのがホアキン・フェニックスなのは注目ポイント。彼は、過去のリドリー・スコット作品『グラディエーター』で仇敵であるコモドゥスを演じていたんですよね。このときの演技もすごかった...。
今作は、Apple TV+にて近日公開予定となっています。
おすすめの関連作品
さて、リドリー・スコットといえば『エイリアン』や『ブレードランナー』などのSFの名作を残しています。一方で、前述の『グラディエーター』のような歴史映画の名作を生み出しています。今回はこれらの映画を特におすすめしたいと思います。
『グラディエーター』 U-NEXT
『キングダム・オブ・ヘブン』 Disney+
『エクソダス 神と王』 Amazonプライムビデオ
『最後の決闘裁判』 Disney+, Amazonプライムビデオ
『エイリアン』 Disney+
『ブレードランナー』(ファイナル・カット版) U-NEXT
『オデッセイ』 Disney+
『PERFECT DAYS』
劇場公開日:2023年12月22日
監督:ヴィム・ヴェンダース
出演:役所広司 中野有紗 アオイヤマダ 柄本時生 三浦友和 ほか
ドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース監督が日本を舞台に撮影した最新作『PERFECT DAYS』。主演の役所広司がカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞したことでも話題になりました。
渋谷でトイレの清掃員として働く男性が主人公。何気ない毎日に喜びを見出す彼が、ふとしたことから過去と向き合っていくというストーリー。
予告編で流れるルー・リードの『Perfect Day』のように「何の変哲もないその一日がパーフェクトに感じられる」、そんな喜びと静謐とした中に生まれる小さなドラマや情景が感じられる作品です。
おすすめの関連作品
ヴィム・ヴェンダース監督はカンヌ国際映画祭など多くの賞を獲得し、『パリ、テキサス』や『ベルリン 天使の詩』などの多くの名作を生み出してきました。受賞作品を始めとした過去作品を見ておくとどんな監督かわかると思います。
また、小津安二郎監督を敬愛し、日本でドキュメンタリー『東京画』なども撮っています。こちらも踏まえておくと今作をより楽しめるでしょう。
以上、2023年9月以降公開の注目の新作映画と、事前に観ておくとより一層楽しめる関連作品でした。
ご紹介した映画はごく一部ですが、少しでも映画を楽しむためのしるべになれば幸いです。2023年も残りわずか、映画もドラマもたくさん観て楽しみましょう。
source: YouTube, Netflix, Disney+, U-NEXT, Amazon, Hulu, AppleTV+