これはスマホなのかな…。
ちょっとオーバーに言えばそんな疑問も浮かぶモノ。いや、モノと言っていいのかすらわかんないんです。
最近のスマホって「カメラ」や「機能」や「サービス」や「文化」と統合されていて、そこにさらに「AI」とかいうバケモンで強化してくるわけなので、これはもうなんだかわからんね。
そのなんだかわからんのボス、「Google Pixel 8」と「Google Pixel 8 Pro」に触ってきました。
ちょうどいいPixel 8と、ビッグなPixel 8 Pro

こんな子たちです。左が6.2インチのPixel 8で、右が6.7インチPixel 8 Pro。
まぁ端末の詳細については、これまでのウワサどおりです。まぁ、公式ストアでも発表前からお披露目されていましたしね。
基本的なスペックをおさらいしますと…
・SoC:Tensor G3
・ディスプレイ:Pixel 8…6.2インチ有機EL「Actua Display」/Pixel 8 Pro…6.7インチ有機EL「Super Actua Display」
・アウトカメラ:Pixel 8…50MP広角、12MP超広角/Pixel 8 Pro…50MP広角、48MP超広角、48MP望遠 (光学5倍)
・7年間のOSアップデート・新機能サポート・セキュリティー更新 (従来は3年程度でした)
・価格:Pixel 8…11万2900円 Pixel 8 Pro…15万9900円
・購入:10月4日から予約受付、10月12日に発売…Googleストア・NTTドコモ・KDDI・ソフトバンク・沖縄セルラー
最大のアップデートはSoCが「Tensor G3」になったこと。AI支援がさらに強力になり、オンデバイスで処理できることが拡張されています。詳しくは後述します。

端末本体は、8も8 Proもちょっと丸みを帯びて握りやすくなっています。
特にPixel 8はちょっぴりコンパクト(Pixel 7より0.1インチ縮みました)になっていて、ギュッと握れる相棒感がラブリーです。

Pixel 8 Proは背面がすりガラスっぽい感じのサテン仕上げになりました。指紋が付きにくいし、手触りサラサラで一生さわっていられるやつ。
カメラは望遠付きの3眼構成。カメラの数は7 Proを踏襲していますけど、3つのカメラすべてがスペックアップしているので、写真体験を重視するならリッチなProですかねー。
なお、画面はPixel 8が60Hzから120Hzの可変リフレッシュレート。Pixel 8 Proは1Hzから120Hzの可変リフレッシュレートに対応です。
みんな笑顔の記録を残せるAIの魔法「ベストテイク」

Tensor G3になったことで、新たなAI処理をオンデバイス(端末上)で行なえるようになっています。そのひとつが「ベストテイク」。
こちらは複数枚の写真を撮影することで、顔だけを他のカットの表情に差し替えられる。というもの。ポーズや背景はそのままです。
写真に映っている人物の顔をタップすると、表情の候補が表示されるので、そちらを選ぶと顔が差し替わるというもの。ただ顔を差し替えるだけじゃなくて、顔の大きさや角度、背景との融合感もしぜ〜ん!になるようにAIが調整してくれるんです。動画でご覧ください。
なお、顔の表情をジェネレート(生成)しているのではなく、機械学習を使ってほかの写真からマッチした人物の顔を拾ってきて、合成させるという手法。
そのため、正確な合成には数パターン撮影しておく必要がありますけど、作例が溜まっていけば候補もたくさんの中から選べそうな予感!
…え? 活用方法が見えない? 僕、集合写真や家族の記念写真で活躍する未来しか見えないんですが!
「正面向いてねー。こっちだよー! 撮るよ〜〜! はーい! 」
を何度やっても別の方向を向いたり、半目になるのが子供という生き物です。

それを前提として、とにかく連射しておけばいいんです。後で、子供ごとにベストな表情に調整しちゃえばいいんです。そして、生成と違ってちゃんと本人の顔での補整(補整って言い方が正しいのかはわかりませんが)によって出力されるので、「作り物感」の薄い「写真」として残せます。
ちびっ子の居るご家庭や元気な同行人が多い人は、Pixel 8シリーズにしておきましょう。全員が正面向いた写真をアルバムにできます。
不要な音を世界から消せるAIの魔法「音声消しゴムマジック」

「消しゴムマジックで消してやろうか!」
でおなじみの「消しゴムマジック」で消しされるモノが「音」にまで拡張されました。
ごめんなさい何を言っているのかわからないと思うので順序だって説明しますと、動画の音をAIが聴き分けて、ジャンル分け。「これいらない」と思うジャンルの音だけを消せるんです。
たとえば、道端で楽器を奏でる動画では、「楽器の音」に加えて「周囲の人の声」「交通のノイズ」などが重なっています。これらをそれぞれを分離して、特定の音だけをバニッシュできるわけ。
これは操作例を動画で見てもらうのが一番いいかと思います。以下をどうぞ。
かなり正確に特定の音だけを下げていますよね。耳を澄ませばちょっと残ってますけど、耳障りさは全くなくなりました。
近年、YouTubeやSNSにアップする楽しみも一般的で、ライフログ的にスマホで動画を残すシーンも増えました。
でも、常に指向性のあるマイクで録音できるとは限りませんしね。それがスマホだけでここまで聞きやすく調整できるとなれば、動画を楽しむすべての人にメリットがありそうな気がするなぁ。
なお、こちらもオンデバイスで処理しているので、現状はTensor G3のPixel 8シリーズ限定の機能です。
「カメラ体験」の幅をさらに広げた、現代のAIカメラ

今回は室内での体験会だったので、カメラ自体の性能は詳しく測れませんでしたが、Google Pixel 8/8 Proは、スペック的なカメラ性能の向上だけでなく、僕らが理想とする「カメラ体験」自体を向上させてきたように感じますね。
それって、言い換えれば僕らは「撮った後にどうしたいの?」ってところを支援してくれることだと思うんです。
カメラって撮るのも楽しいけど、撮ったあとに見せたり、自分で楽しんだり、表現したり、クリエイティブしたりってところじゃないですか。そこをなるべくAIのちからで補助しましょう。ってのが端末を通じたGoogleのアプローチ。
そこをチップ内のTPU(機械学習ユニット)によるオンデバイスAI処理で用意したPixel 8/8 Proは、端末だけで即応できるのがとにかく強い。
しかもジェネレーティブじゃなくて、あくまでもAIは加工補助でハンドリングはオーナー。という提案力が本当に良くバランス取れていると感じました。
この他にも新機能としてはAI支援に関するものだけでも…
・動画ブースト(動画の明るさ、ダイナミックレンジの調整など)
・ビデオ夜景モード
・音声入力アシスタントで混在する言語を認識
・レコーダー(ボイスメモ)の文字起こし機能が言語認識に対応
なんてのも。AI以外では、赤外線をつかった温度計機能なんかも付いています。
これはスマホなんだか、AI(物理)なんだか。もうわからんですが、僕らの楽しみや仕事や生活をさらに充実させてくれるモノであるのは間違いないですね。
Pixelと相性の良い(カメラをリモート操作できる)Google新スマートウォッチの「Pixel Watch 2」インプレッションはこちら。
Photos: 小暮ひさのり
Source: Google