カギは「2つの脳」。NASA火星探査機が移動時間の最短記録を更新

  • 6,789

  • author George Dvorsky - Gizmodo US
  • [原文]
  • そうこ
  • X
  • Facebook
  • LINE
  • はてな
  • クリップボードにコピー
  • ×
  • …
カギは「2つの脳」。NASA火星探査機が移動時間の最短記録を更新

今この瞬間も火星を探検中のNASA探査機パーサヴィアランス。先日、2021年2月に火星に着陸して以来の移動時間最短を記録したことがわかりました。

ほかの探査機の1/3!

6月26日から7月31日にかけて火星のスノードリフト・ピークをエリアを移動したパーサヴィアランス。その移動距離は759m。1カ月弱で1kmも進まないの?と、地球感覚だと遅く感じてします。が、ほかの火星探査機と比較すると、移動時間は3分の1と驚くべきスピードなのです。

パーサヴィアランスを製造したNASAのジェット推進研究所担当者、Tyler Del Sesto氏いわく、今回の移動は、パーサヴィアランスが今まで遭遇してきたエリアよりも岩がごろごろ転がる過酷な道だったとのこと。その道を迂回することなく、そのまま突き進んだのが今回の最短時間移動につながりました。

火星探査機の移動時間短縮は、『ワイルド・スピード』的な速さとは異なり、ルート選出も重要な要素となります。

2つの脳を持つ探査機

パーサヴィアランスは自動運転システムAutoNavが搭載されており、このシステムが調査したいエリアへの移動時間をどう削減するかを考えるサポートをします(AutoNavについてはScience Roboticsに論文掲載あり)。今回の移動時間短縮もこのおかげ。

パーサヴィアランスは、初めて2つのブレーンコンピューターが搭載されたマシン。ジェット推進研究所の本プロジェクト担当エンジニア、Vandi Verma氏は次のように話しています。

1つより2つのブレーンの方がいいという、良き例になりました。初めて2つのコンピューターブレーンを搭載したパーサヴィアランスは、そのおかげで即座に判断をくだせるのです。

パーサヴィアランスの2つのブレーンは、1日の移動距離最長記録347.7m、人間のコントロールなしでの自動運転最長記録699.9mなど、ほかの記録更新にも貢献しています。

パーサヴィアランスの記録は今までの探査機があってこそだというSesto氏。「ここまでのパフォーマンスに到達できたのは、ソジャーナ、スピリット、オポチュニティ、キュリオシティという開拓者がいたからこそだと、チーム全員が思っています」と、先人(先探査機)にも敬意を評しています。