えっ、時代に逆行なのでは…?
iPhoneには、たとえ携帯電話が圏外になっても、衛星通信を利用して緊急SOSを発信できるサービスが、欧米などでスタートしています。この流れにAndroidスマホも乗ってくるぞと期待されていたんですが、どうやら残念な展開になったみたいですよ。
Snapdragon Satelliteは中止に
実はスマホなどで大活躍のSnapdragonチップを開発するQualcomm(クアルコム)は、着々と非常時の衛星通信に対応する新チップの準備を進めていました。Wi-Fiシグナルも携帯電話の電波もない場所で、衛星通信にてSMSなどの緊急メッセージを発信可能な「Snapdragon Satellite」を、Iridium(イリジウム)のネットワークとコラボして提供予定。Xiaomi(シャオミ)やOppo、Motorola(モトローラ)といったメーカーも、Snapdragon Satellite対応チップを採用したスマートフォンをリリースしてくると思われたのですが。
このほどIridiumは、QualcommがSnapdragon Satelliteをめぐる新チップの提供を、メーカー向けに実施しないと決定したと発表。技術的にはサービス提供が可能な段階へきていたのに、メーカーが次々と採用にいたらなかった事情などが明かされています。今後はSnapdragon Satelliteとしてはサービス打ち切りでも、Iridiumが独自にスマホメーカーへ働きかけ、衛星通信対応サービスの導入を呼びかけていきたいとの方針が示されていますね。
頼みの綱はPixelスマホ?
そもそもAndroidスマートフォンは、OSとして衛星通信を用いた緊急SOSの発信に備えているらしいとの動きも伝えられてきました。GPS機器メーカーのGarminが有料で提供している「Garmin Response」のサービスを活用する可能性が指摘。現時点では、Garmin Responseは月額14.95ドル(約2,200円)の利用料金が必要です。
たとえSnapdragon Satelliteへの対応チップが出されても、Google(グーグル)が独自に開発を進めるTensorチップとは別物。つまり、Googleは、非常時の衛星通信による緊急SOSサービスに対応したPixelスマホシリーズを、Snapdragon Satelliteとは別路線で用意しているとも考えられます。その実現に向けて、すでにAndroid OS側では準備が進んでいるということなのでは?
いずれにせよ、まだ世の中には、都市部を離れると、携帯電話の電波が届かない場所だって、たくさん存在しています。もしものときに、命綱となってくれる衛星通信の価値が薄れることはないでしょう。なんらかの形で、Androidスマホにも、iPhoneに劣らぬサービス提供体制が標準で整ってくるといいですよね。
Source: Iridium