Googleマップは地図アプリとして非常に優秀ですし、ますます賢くなっていますが、すべてを把握する万能なアプリとはいえません。
まさにそれを示すようなケースが起こりました。
Googleマップを頼りにハイキングをして立ち往生

先日、Googleマップに表示されたトレイル(山道)を辿ってハイキングをしていた人が途中の崖で立ち往生してしまったのです。Googleマップに表示されていた道は実際には存在しない道だったため、それを頼りに歩いていくうちに崖に行ってしまい、動けなくなったとのこと。
その人は無事に救出されましたが、このトレイルによって過去にも複数のハイカーが同じように立ち往生してしまった事例がありました。
この件は、カナダのバンクーバーにあるフローム山で起こり、トレイルはケネディ・フォールズという滝も含むエリアから非常に困難な地形を進むようなルートだったそうです。
非常に危険なエリアに導かれていた
この地域の救助チームであるNorth Shore Rescue(NSR)は、当該のエリアは非常に険しい場所であり、「実際にハイカーが発見された場所につながるようなトレイルはない」と述べています。
NSRはこのエリアについての危険性について周知しており、Facebookに「過去に死亡事故もあった場所でもあり、非常に危険なエリアです」と投稿しました。また、この件を受けてハイキングやトレッキング(登山)目的でこの場所に立ち入らないように標識を設置したとのこと。
NSRはこの件では、ヘリコプターによる救助隊を派遣したそうですが、上空からはそのハイカーを見つけることができなかったそうです。というのも、この場所は樹木が密集したエリアだったのです。
さらに、ハイカー自身も最小限の準備しかしていなかったため、懐中電灯など自分のいる場所を伝えるようなものも持っていなかったとのこと。最終的に別の捜索救助チームがハイカーを発見しました。
Googleマップではなくアウトドア向けのアプリを使う
NSRの報告によれば、Googleマップを頼りに山に入っていったハイカーが救助をされるという事例はこれが初めてではないとのこと。9月にもハイカーがアプリに表示された同じようなトレイルを辿り、その後救助されたのだそうです。
さて、この存在しないトレイルについて、NSRはこうした件を受けて「Googleマップがトレイルの表示を削除した」ことを確認したと投稿しています。
NSRは最初の投稿で「Googleマップのような"都市地域向けマップ"としてプログラムされたようなアプリを使って、整備されていない道を進むのは適切ではない」と警告しています。

続けて「もしスマートフォンアプリなどを使用する場合は、CalTopoやGaiaなど、地形図が読み込まれているアウトドア向けに設計されているアプリを使用することを検討してみてください。ちなみに私たちは、古き良き紙の地図とコンパスをおすすめします」とも述べています。
アウトドア向けのアプリでは、地形に関する情報、天気や自然環境についての情報も多く見られるため、トレッキングなどに必要な情報が得られるのです。また、当然のことながら、バッテリーについてもモバイルバッテリーを持つなり準備する必要があるとしています。
Googleマップ情報による事故も起きている
Googleマップのナビゲーションを頼りに、男性が倒壊した橋を渡ろうとして、誤って転落して亡くなったという事故も起きています。
この件に関する告訴状では、Googleマップの情報が更新されていなかったことを指摘。橋は9年も前に壊れていたのにもかかわらずアプリに反映していなかった責任が問われました。
このニュースの際に、Googleの広報担当者は米Gizmodoのメールでの問い合わせに対し「私たちの目標は正確な経路情報をマップで提供することです」と答えました。Googleマップが正確な情報の提供とアプリの更新がされていたならば、なぜ存在しない道がマップ上に表示されたのか、と疑問を持ちます。
広報担当者はさらに「Googleマップを更新するために、サードパーティーによる情報、画像、コミュニティーからのフィードバックなど、さまざまな情報源を利用しています」とも述べました。